隠の桐島さん 第二幕【鬼滅の刃】

貧しくても ページ18

私が生まれた家はお世辞にも裕福とは言えない家系だった


明日の食い扶持も知れず
食糧が手に入ったとしてもお腹いっぱい食べれることは滅多にない



それでも...





母と父は私を精一杯育て上げてくれた




お腹が空いても



貧乏人だと罵られても




父と母だけはいつも側にいてくれた





「ほら、食べなさい」




『わぁ茶粥だ！美味しそう！いただきます！』




貧しくてもいつも両親は笑顔を忘れず








『お母さん達のは？』




「大人は漬物だけでいいの！
さ、冷めないうちにさっさと食べな」




「母さんの言う通り
いっぱい食って大きくなれ！」




泣きたくなるくらい優しい人たちだった





でも、やっぱりそれでもお腹は空く



だから山を登って食べれそうな木の実やきのこを拾っては
ぱくぱく食べて空腹を抑えたものだ





そんな温かい日々を過ごしたおかげで


貧しさなんて全然辛くはなくなった




お母さんとお父さんがいれば
それで良かった




そして、いつしか私はある夢を強く抱くようになった






『私、大きくなったらいっぱいお金稼いで
お母さん達養えるようになる！』



ある日の夜
母の前でそう宣言すると

母は素直に喜んではくれなかった




「えぇ〜、もっと良い夢ないの？
Aのお金はAの為に使いなさい」




『私はお母さん達の為に使いたいの！
それで良いの！』



これまで育ててくれた恩を返したい



お母さん達が私にしてくれたように




今度は！


今度は私がッ



お母さん達を幸せにしたい...そう強く思うようになった





そして、私は



【鬼殺隊】と出会った

あの日の誓いを胸に→←苦い思い出

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す