隠の桐島さん 第二幕【鬼滅の刃】

人生最悪の日 ページ14

そして現在丑三つ時…



木に寄りかかり眠っていた私は
妙な肌寒さで目覚めた


寝ている後藤さんを起こさぬよう
静かに身をおこした私は

あまりの寒さに身震いをした


先ほどより更に辺りの気温が下がっている
はっきり言って"異常だ"


何か…何かかおかしい…




先輩を今度こそ起こそうと
肩を揺すろうとしたその刹那…









激しい冷気が森を襲った





『うッ！？…』



「つめたッ！？」




あまりの冷たさに
思わず声を漏らす…


凍えるような空気が全身を襲い
パキパキパキと隊服が凍るのが目に入る

焚かれていた藤の香があっという間にかき消され
冷たい空気が徐々に体温をに奪っていった



考えたくない最悪の事態が
脳裏を過ぎる





「おやぁ…」




ゾクリと背筋が凍る




声を聞いただけで
身の毛がよだつ恐ろしさを感じた







信じられない…




信じたくない…






「散歩と思ってフラフラしていたら
思わぬ収穫があったなぁ」




なんで…





そんな事ってあり得る？




「お、おい…彼奴って」





目を覚ました先輩が息を飲む気配を見せた


それと対照的に奴は
ニイッと狂気的な笑みを浮かべる








眼球に刻まれた二つの文字





ちらりと覗いた
鋭く尖った真っ白な牙




現状を理解するのに
そう時間はかからなかった…




「こんばんわ、良い夜だね」




『"上弦の弐"…』






どうやら今夜は



史上最悪の
くそったれな夜になりそうだ

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