【d！/短編集】夜が、明けるまで【合作】 (ページ22)

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「またバイクで来たの？というか、前にもインターホンぐらい鳴らしてよって言ったよね？」

「⋯⋯悪いっすか」

「はぁぁ。⋯⋯ショッピは私なんかに時間使っちゃっていいの？迷惑だったら帰っていいよ」

「だから、俺がここに居たいから来てるんすよ。問題ないやろ？」

ショッピはこてっと可愛く首をかしげる。
時々出る関西弁が親しさを匂わせる。

「まあ、それでいいなら。」

「ｯははw」

私が渋々と了承すると、ショッピはなぜか笑い出す。

「⋯⋯何。」

「いやw阿保面やなぁってww」

するとツボに入ったようでお腹を抱えて笑い出した。
声を上げて笑うその姿も、見とれてしまうほど美しい。

彼はただの友達で、高校の後輩。
それなのに可愛いだなんて思うのは、可笑しいのだろうか。

「⋯⋯ねえショッピ。私、生きてる？」

暗くて静かな夜の中、少し心配になってそう尋ねた。
それを聞いたショッピはいつもこう返す。

「ええ、生きてますよ。」

ためらいもなく、真っ直ぐに私の揺れた瞳を見つめて。

「ねえショッピ。私、死んでる？」

また少し心配になってそう尋ねる。
その問いにも、ショッピは決まってこう返す。

「ええ、死んでますよ。」

今度は少し、切なげに笑って。
そして私を安心させるようにぎゅっと抱きついて。

「そっ、か。よかったぁ⋯⋯ふふっ」

私も小さく微笑んで、ショッピの背に腕を回す。

私が不登校になってから、ずっと。
私が光を浴びられなくなってから、ずっと。

彼はバイクでここに来て私を元気付けてくれる。

その時だけは安心できて。
申し訳ないが、私自身変えに甘えてしまっているところもある。

それでもショッピは文句ひとつ言わず、毎日ここに通う。

それだけで私は幸せで、心が温まる。
でも、今のままでは何かが足りない。

何か。何かが欠けているんだ。

＿＿まだ月は、ひと粒欠けている。