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Aの言葉に頷いて、俺達は建物の中へ戻った。中へ入った途端時間を知らせる鐘の音が聞こえてきて、俺は仕方なくAと別れた。返事は明日聞けばいいや、と思っていた。
「A？」
翌日、いつもの時間になって、俺はひょいと部屋の中を覗いた。椅子に座っている筈のAがいなかった。どこかに隠れているなんてわけはないだろう、と思って一旦廊下へ出た。遅刻かもしれないし、もう少し待っていれば来るような気がしたのだ。
しかし俺の予想は外れて、いつまで経ってもAはやってこなかった。何かあったんかな、と心配し始めた頃、廊下の向こう側から誰かが歩いてくるのが見えた。Aかと思って、壁にもたれかかっていた身体をすぐに起こした。
「⋯なんや、子供か⋯⋯」
「⋯なんや、違ったわ⋯⋯」
そちらから来たのは見覚えのない男だった。男は俺と同じようにがっかりしたような言葉を吐いて、俺の横を通り過ぎようとした。近くで見ると、なんや子供か、と言った割には俺と大した差はないくらいの歳に見えた。
「あ、ちょっと待って」
「え、なにお前⋯」
そいつの腕を掴んで引き止めると、その男は俺にげんなりした顔を向けた。俺はそんなことお構い無しにその男の薄い青色の目をじっと見つめながら問いかけた。
「この時間にここの部屋にいた人見てない?」
「ええ？⋯⋯あ、あいつか」
「見たん？」
「見てないけど、なんや、探しとんか」
その男がどうでもよさそうに訊いてきた。俺は話が進まないことを焦れったく思いながら頷いた。
「あぁ、そう。でも、あいつなら昨日辞めたで」
「⋯え？」
「それはそうと、そこ退いてくれへん？」
部屋入るのに邪魔なんやけど、とそいつが続けた。そのとき俺は頭の中が文字通り真っ白になっていて、言われるがままにそこを退いた。男が部屋に入っていったのをぼうとしながら眺めて、ふと、扉に掛けられていた看板の番号が変わっていることに気づいた。
その日以降、Aがあの部屋に来ることはなかった。
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さくらんぼ双子(プロフ) - ルカさん» 分かります⋯!!神作者様だとやっぱり被っても発想が凄いんですよね⋯!! (2022年10月4日 15時) (
レス) id: b167e19be9 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 薔薇、すごい被ったのに内容が全然違うの凄い､､！！ (2022年9月21日 23時) (レス) @page30 id: 4cbe8909de (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ双子(プロフ) - 闇の塩分さん» 闇の塩分様ありがとうございます！面白かったです。ヤンデレtn氏もいいですね⋯ (2022年8月16日 2時) (レス) id: b167e19be9 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ双子(プロフ) - 若草 翠さん» いえ、そんなことないですよ！読みましたが面白かったです！そしてありがとうございます！ (2022年8月16日 2時) (レス) id: b167e19be9 (このIDを非表示/違反報告)
闇の塩分(プロフ) - 書き終わりました (2022年8月15日 23時) (レス) id: 629d679cbe (このIDを非表示/違反報告)
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