【d！/短編集】花を貴方に添えて【合作】

・ ページ22

結局、目に留まった青いアネモネを購入し、帰路につく。
もう少し考えれば良かったかなと思いきや、大先生がいる手前長居は出来るだけしたくなかったし、ボロがでると思い辞めておいた。

何時もより豪華な手料理を作り、アネモネを花瓶に挿す。


さて、アネモネというのはサーチしていなかったからどんな花言葉なのかとスマホで調べる。



⋯⋯待て待て待て、花言葉やばいの多すぎでは？

「はかない恋」「恋の苦しみ」「見捨てられた」「見放された」⋯⋯

昔の大先生に贈る元カノみたいな花言葉になっている。まずいまずい不吉すぎる。


今から違う花を買ってきては駄目かと玄関に向かうと丁度大先生が帰って来る。


『あ、おかえり⋯⋯』

「ただいま〜。どしたん？そんな焦ったような顔して」

『いや、ナンデモナイヨ⋯⋯』

「いや何でもあるような口ぶりやん」


こうなったら観念するしかない。
『実は⋯⋯』と花言葉を決めずにこれにしてしまったと花瓶に挿さっているアネモネを見た後に私に対して優しく微笑んでくる。


「青のアネモネの言葉は「固い誓い」やねんて。 面白いよな。色が違うと花言葉も違うって」

『え⋯⋯そうなの？詳しいね』

「あー、実は僕もおんなじの買うてきてしもて。実験に使うって言うたのはあれ、嘘です。Aちゃんを驚かせたくて⋯⋯」


気恥ずかしそうに笑う大先生は青いアネモネを花束にしてアレンジしてもらっている。
どうやらお花屋さんの店先で悩んで私と出会って誤魔化していたのは大先生も同じだったようで。


「一緒やね」と微笑む大先生に今年もまた、私はサプライズされてしまったのだと気付く。


そして、来年再来年⋯⋯未来永劫続くいつかは大先生の度肝を抜くようなサプライズをしたいと心の中で誓った。

あとがき→←その言葉の裏側は/ut

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す