検索窓
今日:3 hit、昨日:10 hit、合計:96,622 hit

. ページ38

ふと、坂田の顔が頭をよぎった。


坂田とAは高校の同級生だと言ったが、彼らの間は、どこかぎこちなく見えた。


もしかしたら、高校の時に何かあったのかもしれない。


考えたくはないが、例えば、高校の時付き合っていたとか。


そう考えると、坂田によって奪い去られてしまう恋であるかもしれない。


そのことだけは、覚悟しておかなければならない。


俺が自分の気持ちをぶつけることで彼女を苦しませるとしたら、それどころか、このさき話すこともできなくなってしまったとしたら、、、


そのほうが何十倍も辛いであることに違いないのだ。


同じ大学である上に家も近所でバイト先も同じとなれば、ただの恋人同士が別れるようなわけにはいかない。


会わずにいることもできやしないのだ。


どうしてもそれだけは、避けたかった。


「A、落ち着いた?」


「はい。おかげさまで。遅い時間なのに、すみません」


「あんな状態のお前に「はいそれじゃあ、さよなら」なんて言えるかよ。俺がやりたくてやってるんだから、後輩のお前は素直に甘えとけばいーの」


違う。ほんとは好きだから。


Aじゃなかったらこんなことしない。


こんな風に、優しくして、俺に頼ってくれるように仕向けるようになんてしない。


どうして俺はいつも、素直になれないんだろう。


「ありがとうございます」


Aがゆるく笑った。


それだけで、彼女への感情を自覚したばかりの俺は、心臓がうるさいくらい跳ねまくった。


肋骨を折りかねない勢いで跳ね回る心臓をバレないように、俺は彼女の頭を撫でて視界を遮った。


「…泣いてもいいけど、1人で泣くなよ」


できるなら、彼女を抱きしめてその耳元でささやいてやりたかった。


何も心配はない、辛いことがあったら誰に言えなくたって俺に言えばいい、この先どんなことがあっても、俺だけは絶対にお前の味方なんだから、と。



.

夏の大三角形→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (82 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
253人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

りひと(プロフ) - たまさん» たま様/コメントありがとうございます!またコメントをいただけて嬉しいです!続編のほうも、引き続きよろしくお願いいたします! (2019年12月24日 11時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
たま(プロフ) - こんにちは!グッドイブニング・トウキョウから引き続きずっと読んでいます。坂田さんsideも入れて頂きありがとうございました。これからの逆襲編も楽しみですし、また坂田さんとくっつくのも楽しみにしております。これからも応援しております。 (2019年12月24日 11時) (レス) id: a928baf79e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - shioriさん» shiori様/コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!今後も楽しんで読んでいただけるよう努めて参りますので、応援のほどよろしくお願いいたします! (2019年12月22日 3時) (レス) id: 643f7a330d (このIDを非表示/違反報告)
shiori(プロフ) - 初コメ失礼します!浦田さんのキャラめちゃくちゃいいですね!元々惚れてますけど余計に惚れますね!応援してます!更新頑張ってください! (2019年12月22日 1時) (レス) id: f06d85eb8e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ゆずの実さん» ゆずの実様/コメントありがとうございます!どんどん更新して参りますので、今後とも応援のほどよろしくお願いいたします! (2019年12月21日 13時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りひと | 作成日時:2019年12月13日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。