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「すごく綺麗やったなあ!」


「ほんとうに。あ、でも坂田くん、途中寝そうになってなかった?」


「なってないって!」


随分と日が長くなったと思う。


もう7時前だというのに、まだ日は落ちきっていない。


真っ赤に燃える夕焼けが、坂田くんの髪な反射して光っていた。


私たちはプラネタリウムを出たあと、カフェで一息ついてから帰路に着いた。


坂田くんの最寄り駅は3駅向こうだというのに、


「女の子なんやし、送らせて?」


と言って、私が降りる駅で一緒に降りてくれた。


「なんか、こうやって一緒に帰るの、懐かしいなあ」


坂田くんは私たちの前に伸びる長い影を見ながらそう言った。


「高校生のときは毎日一緒に登下校してたもんね」


「そうやなあ」


ふと、空を見上げると、少しずつ、星が瞬きはじめていた。


「……プラネタリウムで見た星、夜になったら見えるのかな」


「え?」


「ほら、夏の星座。見えるかなって」


「どうやろ。街灯とか明るいとあんまり見えんっていうしなあ。今度、本物の星、見に行く?」


「それもいいかも」


仲のいい友達だった、あのころみたいな感覚に懐かしさを覚えてそういうと、坂田くんは嬉しそうに笑った。


私が不思議に思って首をかしげると、


「Aちゃんが、今日、楽しんでくれたんやなって思ったら嬉しくて」


なんて言うものだから、恥ずかしくなって顔を逸らした。


だんだんと辺りが暗くなっていき、私の家に着く頃には、夕日は完全に沈んでいた。


「今日は、ありがとう。楽しかった。ほんとうに」


「ん。俺も」


じゃあ、と言って別れてしまうには、なんだか名残惜しい気もした。


それは坂田くんも同じだったのか、互いになにも話さないまま、あたりに沈黙が落ちる。


「……あの、さ」


先に破ったのは、坂田くんだった。


「俺、最初はAちゃんに謝って、また友達に戻れたらって思ってた」


言葉を選びながら、ゆっくりと、坂田くんは言った。


「でも、やっぱダメだった」


「え、」


それって、友達に戻れないってこと?


もう、会うのはこれっきりってこと?


不安が胸をよぎる私をお構い無しに、坂田くんは私の手を取った。




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りひと(プロフ) - たまさん» たま様/コメントありがとうございます!またコメントをいただけて嬉しいです!続編のほうも、引き続きよろしくお願いいたします! (2019年12月24日 11時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
たま(プロフ) - こんにちは!グッドイブニング・トウキョウから引き続きずっと読んでいます。坂田さんsideも入れて頂きありがとうございました。これからの逆襲編も楽しみですし、また坂田さんとくっつくのも楽しみにしております。これからも応援しております。 (2019年12月24日 11時) (レス) id: a928baf79e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - shioriさん» shiori様/コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!今後も楽しんで読んでいただけるよう努めて参りますので、応援のほどよろしくお願いいたします! (2019年12月22日 3時) (レス) id: 643f7a330d (このIDを非表示/違反報告)
shiori(プロフ) - 初コメ失礼します!浦田さんのキャラめちゃくちゃいいですね!元々惚れてますけど余計に惚れますね!応援してます!更新頑張ってください! (2019年12月22日 1時) (レス) id: f06d85eb8e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ゆずの実さん» ゆずの実様/コメントありがとうございます!どんどん更新して参りますので、今後とも応援のほどよろしくお願いいたします! (2019年12月21日 13時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りひと | 作成日時:2019年12月13日 23時

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