グットアフタヌーン・トウキョウ【うらさか】

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最新のドームに足を運ぶと、音楽や香りを駆使した癒やしの空間が広がっていた。


建物内に入っただけで、こんなにもリラックスができるだから、実際に始まったらどんなふうになるんだろう。


「よくこんなところ、知ってたね」


坂田くんは、もっと賑やかで思いっきりはしゃげる所が好きなんだと思ってた。


「……Aちゃんが、好きそうだと思ったから」


隣を歩く坂田くんを見上げると、照れくさそうに頭をかいた。


「ありがとう。嬉しい」


素直に伝えると、彼ははにかんで


「よかった」


と言った。


薄暗いドームの中は、イス型のものとソファ型のものに別れていた。


前列の中央付近がソファ席になっていて、2人がけのソファ席に私たちは腰をかけた。


ふわふわで、座り心地は抜群だ。


オーロラの緑色をしたノーザンライトのソファに、コズミックブルーのクッションが宇宙を連想させる。


2人がけのソファはカップルで埋まっていて、傍から見たら、私たちもそういう風に見えるのだろうかと考えてしまった。


徐々に蛍光灯のあかりが消え、ドームには星空が広がっていく。


ゆっくりとした音楽とアナウンスだけがドーム内に響いている。


星がいまにも降ってきそうな、圧巻の夜空だ。


最初は、いまの季節である、夏の夜空が映し出された。


夏の星座であるはくちょう座は、夏から秋にかけて天頂辺りに見ることができる星座で、大きな十字が目に付く星座だ。


この十字は「北十字星」と呼ばれていて、白鳥の尾のところには、一等星・デネブが輝いている。


デネブはこと座のベガ、わし座のアルタイルと共に、「夏の大三角形」と呼ばれる大きな二等辺三角形を形作っていた。


アナウンスでは、はくちょう座にまつわるギリシャ神話の恋の話が流れてくる。


それを聞きながら、人も同じなんだと、不意に思った。


星が綴る愛の物語と同じように、人間も、いろんな愛のかたちを持っている。


例えば、兄弟愛、家族愛、友愛。


言葉だけでもたくさんあるし、示し方も、愛し方も、人それぞれだ。


それはまた、恋も同じことがいえるのかもしれない。


そう、それこそ目の前に広がる星のように。




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