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そのあと、私たちは宣言通り目一杯楽しんだ。
ショーも見て、キャラクターグリーティングで写真も一緒に撮った。
人気のジェットコースターを制覇した頃には、もう日が沈む頃だった。
「んん〜、楽しかった!!」
「俺も俺も。久々に気を遣わないで遊べたわ」
「嘘。センラくん、最初の方とかめっちゃ気を遣ってくれてたよね」
「最初はな〜。でも、Aちゃんがちゃんと楽しみたいって言ったあたりからはもう素やったで」
「ほんとに？」
「ほんまやって。Aちゃん、気遣わんでいいから一緒にいて楽なんやもん」
センラくんとは気が合う。
いつも一歩下がって気を遣う役割同士だから、お互い楽でいられたのかもしれない。
家族にすら気を遣ってしまう私が素でいられるのは珍しい。
坂田くんといるときだって、いまだに嫌われないように気を配っているくらいだ。
センラくんには、そんな心配もせずに話せるから楽だった。
彼自身も、もしかしたら私と同じなのかもしれない。
こういう人を好きになれたらいいのに、とセンラくんの横顔を見てふと思う。
でも、ずっと見ていたいと思うのは、夕日色だ。
月のような、彼ではない。
太陽みたいにまぶしい笑顔が好きだ。
木々が揺れる木漏れ日のような微笑みではなくて。
私はどうしたって、まだ坂田くんが好きなのだ。
割り切れないのだ。
でもきっと、この熱があっただなんて嘘みたいに思える日がやってくる。
今までもそうだったように。
10年後には、きっと笑い話になってるはずだ。
徐々に街並みが昼から夜に移り変わっていく。
色鮮やかな電飾が街並みを彩って、クリスマスでもないのにみんな浮き足立っている。
「もうすぐ俺ら受験生やもんなー」
「やだねー」
「ちなみにAちゃん、目標は？」
「人畜無害」
「どういうこと!？」
センラくんはよほど私の答えが面白かったらしい。
食い気味に突っ込んで、ひーひー言いながら笑っている。
「あー、ほんまおもろい。なんやねん、人畜無害って」
いまだに笑いが込み上げてくるようで、センラくんは必死に抑えているつもりなのだろうが、にまにました口元は笑いを堪えられていない証拠だ。
「平凡に生きて行ければ満足なんですー」
「なんかAちゃんっぽいわー」
顔を見合わせて、2人してケラケラと笑う。
「あ、坂田から連絡来とる」
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年11月12日 17時
