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「課題、終わったの？」
「おわっ!？」
坂田くんはびっくりしたようで、変な声を出した。
すぐにこっちを見ると、
「明日の予習しとってん」
とサンタクロースを待つ子供のように笑った。
明日のためにも早めに帰ることになり、私達は図書館を出てバスを待った。
「明日、楽しみだね」
「せやなあ。Aちゃん、あのさ」
「なに？」
坂田くんは心底申し訳なさそうな顔をしてこちらを見た。
「明日のことなんやけど……」
彼は気まずそうにして、私から目をそらす。
少し沈黙が流れて、私は急に不安になった。
「明日、やっぱりダメになっちゃった？」
私がそういうと、違う違う、と坂田くんはぶんぶんと顔を思い切りふって否定した。
「Aちゃんと遊びに行くの楽しみにしとってんから、そんなことせんよ！ただ、」
「ただ？」
「明日、人数増えてもいい？」
「人数？」
「明日、Aちゃんと遊び行くって言うたら、自分も行きたいって言われて…」
「ちなみに、だれ？」
「早坂さん」
ああ、終わった。と私は思った。
これは早坂さんが坂田くんと付き合ってようが、そうじゃなかろうが、早坂さんの嫉妬心を煽ってしまったに違いない。
明日、私は必死に引き立て役に徹するしかない。
「…うん。大丈夫だよ。私の知ってる人でよかったあ」
なるべく自然になるよう、私は笑顔を作った。
心の中は冷や汗ダラダラだ。
「ほんまごめん。ちゃんと、俺の友達も呼んで4人にするから!」
坂田くんは申し訳なさそうにするものの、大丈夫という言葉をきいてちょっと安心したようにも見えた。
「大丈夫だってば。明日は楽しもうね」
夕暮れから誰そ彼刻に向かっていく。
だんだんと闇に包まれていく街並みを、私はじっと眺めていた。
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年11月12日 17時
