グットイブニング・トウキョウ【あほの坂田】 (ページ21)

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映画が公開されたのは、クリスマスだった。

テストがようやく終わって、年末の雰囲気がただよう中、私と坂田くんはショッピングモールに併設された映画館に来ていた。

坂田くんと出かけるのは夏の水族館以来で、すこし緊張する。

混むだろうから、と2人で1番早い上映時間を選んで見ることになっている。

「映画、楽しみやな！」

「うん。テレビでも話題になってたもんね」

チケットを買ってから、ドリンクの列に並ぶ。

これから見るディ○ニー映画は子供たちにも大人気のミュージカル映画らしい。

ポップコーンと、坂田くんはコーラ、私はウーロン茶を頼んだ。

お昼ご飯のことも考えて、ポップコーンは2人でひとつ食べることにした。

冬休みということもあってか、まだ開店して間もないのにショッピングモール内も映画館も混みあっている。

「俺、今日めっちゃ楽しみにしとったんよ！」

坂田くんはにこにこと嬉しそうに言う。

彼は白いセーターに黒のダウンジャケットを着ている。

シンプルな装いもオシャレに見えてしまうのは、やはり素材がいいからだろう。

「ようやく冬休みだもんね」

年が明けて3ヶ月もすれば私達は受験生だ。

こうやって、のんびり遊ぶ暇も少しずつなくなってしまうのだろう。

そう考えると、坂田くんと出かける機会も残り少ないのかもしれない。

「それもそうだけど!Aちゃんと遊ぶの楽しみにしてたの!」

もう、わかってや！と彼は口をとがらせた。

私は坂田くんの不意打ちに驚いて、私は自分の顔に熱が集まるのがわかった。

それは、どういう意味なんだろう。

坂田くんの言葉に、思わず自惚れてしまいたくなる。

「ほら、いこ!」

ちょうどそのとき、開場のアナウンスがなって、坂田くんはポップコーンとコーラを持って私にいった。