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家に着くと同時に、キスが降ってきた。


両手で頬を包み込んで、そっと壁に背中を押し当てられる。多少強引だったかもしれないが、きっと私が本気で嫌がれば、彼はそれ以上はしなかっただろう。


それを分かっていながら、私はセンラを止めずに黙ってキスを受けいれた。


寂しかったから。


会いたくて会いたくて仕方ない人をずっと待っていて、けれども会えなくて。私がいちばんになることは決してなくて。この関係に未来がないことも分かっていて。心に空き始めた穴が、ぽっかりと大きくなってしまっていたから。


その隙間を、誰かに埋めてほしかった。


「センラ……」


「ん?」


「………さみしい」


センラが私の耳たぶを優しく食んだ。かかる吐息がくすぐったくて肩をすくめると、彼はとびきり甘い声でささやく。


「大丈夫やから」


何が大丈夫なのか、そう聞こうとして顔を上げて口を開くと、声を発する前にまた彼の唇によって塞がれてしまった。バランスを崩してパンプスが脱げて、それを支えるようにセンラに抱きすくめられる。それに応えるように彼の身体にしがみついた。


それが合図だった。


センラの背中は広くて、色は白いくせに体温は燃えるように熱かった。新しく新調したばかりなのだと、このあいだ聞いたばかりのベッドに連れていかれて、また溶けてしまうようなキスをされる。


「………A」


闇夜でぼんやりと揺れる蜂蜜色の瞳は、蕩けそうな色気を放っていた。まるでお月様みたいな瞳は、すべてを見透かしているようで、ずっと見ていたいと思うと同時に、少しだけ怖くなる。


抱き合ったときも、繋がったときも、パズルのピースがはまったようにぴったりとくっついた充足感があって、身体の相性っていうのは本当にあるんだと、20数年生きてきて初めて知った。


快感だけを追いかけて、お互いの名前を何度も呼びあって、何度も何度も繋がった。


センラの腕の中にいるときだけは、どうしてだろうか、渉さんのことを忘れられた。






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設定タグ:歌い手 , センラ , 浦島坂田船
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(プロフ) - 初コメ失礼します。りひとさんの作品がとても大好きで過去作品も全て読ませて頂いております。続編もぜひ読みたいのですが、パスワードをお教えしてもらうことは出来ますでしょうか...?何分仕様が分からず、この場で聞くこと自体間違っていたら申し訳ありません。 (2021年2月10日 1時) (レス) id: e8d9509923 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - あすかさん» 返信遅れてすみません。コメントありがとうございます。更新頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年12月14日 21時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - 初コメ失礼します!めちゃめちゃ面白くて見る度に評価押しちゃいます(笑)今1番を楽しみにしている作品です!更新頑張ってください(T_T) (2020年11月5日 21時) (レス) id: a6330c149b (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - いずりすさん» ありがとうございます。いつもと違うテイストに挑戦するので私自身もどきどきしています笑お楽しみいただけるよう頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします。いずりすさんも体調には気をつけてくださいね。 (2020年10月14日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - Quuさん» ありがとうございます。お楽しみいただけるよう頑張ります。Quuさんもお体に気をつけてくださいね。今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年10月14日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りひと | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年8月17日 20時

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