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「そんなに言うなら、センラも彼女と結婚したらいいのに」


当時、彼には大学時代から付き合っていた彼女がいるのを知っていた。すると、それまでスマホに向けられていた視線が、すっと私に向けられる。


「俺が結婚ねえ………なんか現実味がないんよな」


「けど、彼女とは長い付き合いでしょ?結婚の話も出てるんじゃないの?」


「いや全く。たまに会うても仕事の話が大学時代の友達とわいわい騒ぐくらいやし」


あの頃、センラから彼女のことを聞く機会は滅多になかった。たまに彼女のことを話していてもどこか他人事のように話していて、彼女との関係に距離があるように感じていた。


当時、センラのお姉さんに初めて子供が生まれた。生まれる前から楽しみにしていたセンラは、お姉さんから生まれたと連絡が入ったその日に、なぜか私を連れて病院に駆け込んだ。


定時退社できたおかげでどうにか面会時間には間に合ったのだが、なぜこんな展開になっているのか、私は戸惑うばかりだった。


見目麗しい折原家の血筋を受けた赤ちゃんは、お母さんに抱っこされていた。すやすやと眠る赤ちゃんは、将来は絶対に美人さんに違いないと思うほどきれいだった。


なぜそんな場所に私がいるのか、病室にいたセンラのお姉さんも、私自身ですら理解できなかったが、赤ちゃんが無事に生まれた事に興奮したセンラが、たまたまそばにいた私を引っ張ってきたのだろうと、納得した。


その日、生まれたばかりの赤ちゃんをセンラは抱っこしたかったようだが、不安が先立ってできなかった。その後、無事に抱っこすることができ、センラが嬉しそうな笑顔を見せる写真が何枚も送られてきたのだった。


「どうしたん?元気ないやん」


「え?そんなことないけど」


適度に酔いながら私の顔をのぞき込むセンラと距離をとるように、私は体を椅子の背もたれに預けた。すると、センラはふっと思い出したように言葉を続けた。


「俺さ、ベビーベッドの設計したとき、姉貴の子供の顔はすぐ浮かんできたけど………自分には置き換えられへんかったんよな」


私は、おかしなことをいうような口ぶりに、違和感を覚えた。


「きっと、まだ時期じゃないってことなんじゃないの?」


そういうと、センラはまた難しそうか顔をした。




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(プロフ) - 初コメ失礼します。りひとさんの作品がとても大好きで過去作品も全て読ませて頂いております。続編もぜひ読みたいのですが、パスワードをお教えしてもらうことは出来ますでしょうか...?何分仕様が分からず、この場で聞くこと自体間違っていたら申し訳ありません。 (2021年2月10日 1時) (レス) id: e8d9509923 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - あすかさん» 返信遅れてすみません。コメントありがとうございます。更新頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年12月14日 21時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - 初コメ失礼します!めちゃめちゃ面白くて見る度に評価押しちゃいます(笑)今1番を楽しみにしている作品です!更新頑張ってください(T_T) (2020年11月5日 21時) (レス) id: a6330c149b (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - いずりすさん» ありがとうございます。いつもと違うテイストに挑戦するので私自身もどきどきしています笑お楽しみいただけるよう頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします。いずりすさんも体調には気をつけてくださいね。 (2020年10月14日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - Quuさん» ありがとうございます。お楽しみいただけるよう頑張ります。Quuさんもお体に気をつけてくださいね。今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年10月14日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りひと | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年8月17日 20時

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