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だけど、こんな関係になってしまったのは、あのとき私が感情任せに言った言葉が原因なのだと今でも思う。


最初の1年は、完全な私の片想いだった。当然、好きになった頃には浦田さんは既に結婚していたから、私はすっかり諦めていたし、想いを告げようなんてかけらにも思っていなかった。


時間が経てばきっと、次の恋に進むことができる。そう思っていた。


そんな時だった。


いつになく浦田さんが気落ちしていて、彼がいつも飲んでいるペットボトル飲料を差し入れて


「どうしたんですか?」


と聞いたのだ。いつも爽やかな浦田さんが、落ち込んでいるのを見過ごすことはできなかったのだ。幸い、このときも彼の運転する営業車の中で、このあとのアポもなかった。だから、私でよかったら話を聞きますよ、と声をかけたのは鮮明に覚えている。


そうしてしばらくの後、彼は言いにくそうに奥さんと喧嘩したのだと話した。


「そういうことなら、ゆっくり話し聞きますよ」


私がそう言うと、彼は今日の仕事終わりにでも、と疲れた声で言った。


「いいんですか?」


「どうせ今日も、実家にいるだろうし。大丈夫」


会社から少し離れた半個室の居酒屋で、待っていると、浦田さんはそこにやってきた。


「………ごめん。こんなの、Aさんに話すことじゃないのにな」


そう言いながら、浦田さんは苦しそうに言葉を選びながら話をしてくれた。喧嘩のこと。喧嘩も、些細なことがきっかけだったような思う。でもそれが原因で奥さんは話し合いを放棄して実家に帰ってしまい、その後、浦田さんが2人で話し合いたいと言っても衝突するたびに奥さんはすぐに出ていってしまうのだという。


彼女の親から『うちにいるから心配しなくていい』と連絡をもらうのも情けなかったのだと、彼は苦しそうに言っていた。


何かあればすぐ実家を頼る姿にも今さらのように嫌悪感が湧いてきて、喧嘩しそうになると『どうせ家に帰るんだろ』とつい嫌味を口にしてしまい、奥さんの方も浦田さんが変わったことを感じて不機嫌を隠そうともしないという。


どうしたらよかったのか、わからない。と語る彼の声は、震えていた。


家庭で抱えるストレスをどう表現すれば良いか考えるうちに、寂しかった自分を自覚し、浦田さんは奥さんをなじる言葉も、これからどうすれば良いかわからない苦しみも、どんどん口にしていった。


「大変だったんですね」


私に言えるのは、それだけだった。





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(プロフ) - 初コメ失礼します。りひとさんの作品がとても大好きで過去作品も全て読ませて頂いております。続編もぜひ読みたいのですが、パスワードをお教えしてもらうことは出来ますでしょうか...?何分仕様が分からず、この場で聞くこと自体間違っていたら申し訳ありません。 (2021年2月10日 1時) (レス) id: e8d9509923 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - あすかさん» 返信遅れてすみません。コメントありがとうございます。更新頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年12月14日 21時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - 初コメ失礼します!めちゃめちゃ面白くて見る度に評価押しちゃいます(笑)今1番を楽しみにしている作品です!更新頑張ってください(T_T) (2020年11月5日 21時) (レス) id: a6330c149b (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - いずりすさん» ありがとうございます。いつもと違うテイストに挑戦するので私自身もどきどきしています笑お楽しみいただけるよう頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします。いずりすさんも体調には気をつけてくださいね。 (2020年10月14日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - Quuさん» ありがとうございます。お楽しみいただけるよう頑張ります。Quuさんもお体に気をつけてくださいね。今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年10月14日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りひと | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年8月17日 20時

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