序 ページ1
うらたさんごめん、今日会えなくなった
待ち望んでいた人からの簡潔な連絡に、私は大きく息を吐いた。
私がいちばんじゃないのは知ってる。
でも、ずっと前から約束していた、記念日だったのに。
前から一緒に行きたいと話していたレストランだって予約してくれたのに。
どうして、今日くらい、私のところに来てくれたっていいじゃない。
もういちど大きなため息をついて、
Aわかった。またね
とだけ返して歩き出した。すぐ後ろは駅だから、すぐに改札の中にすべりこむ。ひとりでレストランなんか、行けやしない。
会いたかった、なんて言葉は言えるわけがなかった。
金曜日だし、部屋で飲みまくってやる。
そう心の中で決めて最寄り駅でおり、ヒールの音を大きく鳴らしながら早足で歩く。途中でコンビニに寄って、ビールと日本酒とチューハイを適当にカゴの中に突っ込んだ。おつまみも買った。むしゃくしゃしてたから、ついでにワインのボトルも追加した。
お会計は高くついて、それにさえもイラッとして、無言でレシートを受け取って店を出る。
けれども、いちばんじゃなくていいと、2番目で構わないから、それでもいいと言ったのは私だ。
「……………もう、ほんとばか」
私は2番目だから、物分りのいい女でいなければならない。
嫌われたくない。愛想をつかされたくない。
そんなことされたら、きっと私は息もできなくなってしまう。
察しがいいのか悪いのか、着信が入った。
相手は会えなくなった彼ではない。
「もしもし？」
「あ、出た」
相手は、電話をかけてきたくせに意外そうにそういった。
「用がないならもう切るね」
「ちょっ、用事はあるって」
「…………なに」
「いまどこ？」
「もう家に着くとこ」
「ふーん」
「もういい？」
こっちはドタキャンで傷心中なのだ。ほっといてほしい。
「わかった。今から行くわ」
相手はそれだけいうと、電話を一方的に切ってしまった。
「………なんなのよ」
悪態をつきながら、来るなら自分の酒くらいは自分で買ってきてよ、とメッセージを打つくらいには、私は彼に心を許していた。
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あ(プロフ) - 初コメ失礼します。りひとさんの作品がとても大好きで過去作品も全て読ませて頂いております。続編もぜひ読みたいのですが、パスワードをお教えしてもらうことは出来ますでしょうか...？何分仕様が分からず、この場で聞くこと自体間違っていたら申し訳ありません。 (2021年2月10日 1時) (
レス) id: e8d9509923 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - あすかさん» 返信遅れてすみません。コメントありがとうございます。更新頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年12月14日 21時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - 初コメ失礼します！めちゃめちゃ面白くて見る度に評価押しちゃいます(笑)今1番を楽しみにしている作品です！更新頑張ってください(T_T) (2020年11月5日 21時) (レス) id: a6330c149b (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - いずりすさん» ありがとうございます。いつもと違うテイストに挑戦するので私自身もどきどきしています笑お楽しみいただけるよう頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします。いずりすさんも体調には気をつけてくださいね。 (2020年10月14日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - Quuさん» ありがとうございます。お楽しみいただけるよう頑張ります。Quuさんもお体に気をつけてくださいね。今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年10月14日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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