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うらたは重たいまぶたをゆっくりと開けた。
ずいぶんと長い間眠っていたような気がする。
身体はだるくて、頭が重い。
エメラルドの瞳が一番最初に捉えたのは、木製の天井だった。霞がかった頭で、ここはどこだ、と考える。
ぼんやりとそこを見上げていると、外から波音が聞こえ、それに合わせて部屋が微かに揺れているのに気がついた。
………ああ、そうか。ゴーストシップか。
ぼんやりと頭の中で少しずつ直前までの記憶がよみがえってくる。
Aをまふまふに診せて、それで………
それで、どうなったんだっけ？
そこからの記憶がないということは、そこで自分は倒れてしまったのだろう。意識がなくなる直前、坂田の焦ったような声が聞こえたのは覚えている。
身体を起こそうとして、そこで初めて自分がベッドに寝ていることに気がついた。
体を起こすのには、なぜかひどく力がいった。どこか痛むわけではないが、全体的に体がだるい。それほど長く眠っていたということなのだろうか。頭もなかなかハッキリしてくれない。
硬いスプリングのベッドに、簡素なブランケット。自分が気を失ってから、どのくらいの時間が経ったのだろうか。
Aはどうなったんだろうか。
「そうだ、Aは………」
Aの無事が気になって、部屋を出るためにベッドから足をおろした。両足を床に着けて立ち上がろうとした瞬間、バランスを崩して床に激突してしまった。
目の前に火花が散る。
うらたは鼻をさすりながら立ち上がった。今度はなんとか、ふらつきながらも立つことが出来た。ドアの方に歩こうと一歩踏み出した時だった。向こう側から扉が開き、紫色の頭が顔をのぞかせた。
「うらたさん？」
「………まーしぃ」
志麻は、うらたが立ち上がっているのを認めると、ほっとしたように眉を下げた。部屋に入ってきて、
「よかった。体は？大丈夫？」
と言う。
「なんとか。俺が寝てから、どんくらい経った？」
「丸1日ってとこやな。過労やって。色んなこと考えすぎたんとちゃう？」
「………かもな。Aは？無事か？」
志麻は静かに頷いた。
「まだ眠っとる。まふまふってやつが言うには、解毒はできたけど、いつ目覚めるかわからんって」
「………そうか」
うらたはそこで、ほっと胸をなでおろした。
とにかく、Aが無事だったならそれでいい。
うらたはようやく、心から安心できたような気がしたのだ。
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りひと(プロフ) - 凍華＠ラさん» コメントありがとうございます。みなさまの応援のおかげで、ありがたいことにランキングに載ることができました。今後ともお楽しみいただけるよう更新してまいります。引き続きよろしくお願いいたします。 (2020年5月29日 19時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
凍華＠ラ(プロフ) - よくランキングに載っている作品だったので、少し気になって読ませていただきました。本当に面白くて、一気読みしてしまいました。続きが楽しみです。無理のない範囲での更新、頑張ってください！ (2020年5月29日 12時) (レス) id: 960374666f (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - over the rainさん» コメントありがとうございます。お楽しみいただけたこと嬉しく思います。今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。 (2020年5月26日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 続編おめでとうございます。題名に惹かれ読み始めてこらあっという間に3作品目でびっくりです。応援してます。 (2020年5月26日 6時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ありまさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しく思います。今後とも、何卒よろしくお願いいたします。 (2020年5月25日 18時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2020年5月24日 23時
