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「大事だってことに理由なんている？」
「え………」
Aはびっくりして顔を上げた。坂田がまふまふにそういったのだ。
「まふくんは、そらるさんが大事なのに理由があるん？ないやろ？」
「ない、けど……」
Aと同じように驚いた顔をしているまふまふに、うらたが続けて言う。
「それと同じだよ。禁忌の子だからとか、人間だからとか、悪魔だからとか、そんなの関係ない。俺らにとって大事なのは何か、なんだよ」
Aはどうしたらいいか分からず、また志麻を見上げた。彼は大きく頷き、
「ほら、だからそう言ったやろ？」
と言って安心させるようにAの頭をゆるく撫でた。胸の奥からなにかが込み上げてきて、目の奥が熱くなる。
「…………わた、し、皆さんと、一緒に、いても、いい、んですか？」
ようやく出てきた言葉は、ひどく掠れて震えていた。
「Aがいなくなったら、誰が俺の料理褒めてくれるん？」
「またお菓子も一緒に食べたい」
上から、センラと坂田。彼らはずっと変わらない。とうとう溢れた想いがAの目じりからこぼれ落ちた。
「………あの時、お前は俺から逃げなかった。それどころか、向き合おうとしてくれた。だから、俺ももう逃げねえ。ちゃんと、向き合う」
あの時、というのがいつの事なのか、Aにはすぐわかった。Aが魔物に攫われる前、うらたが自分のことを食べようとしていた時のことだろう。
もう声も出なくて、Aは必死にこくこくと頷く。ここに居たい。誰もいない人間界に戻るより、優しい彼らのいるこの世界に居たい。
「みんな、Aと一緒にいたいって思っとるんよ」
「ほら、せっかくのご飯も冷めてまうから、Aと志麻くんも座り」
センラに手を引かれてテーブルに連れていかれる。隣にセンラが座り、反対側には志麻が座った。正面にはうらたと坂田もいる。
Aはなんだかむず痒い気持ちになって、顔を上げることが出来なかった。泣き顔を見られたくなかったという気持ちももちろんあったが、それ以上に彼らの顔を見たらまた泣いてしまいそうだったのだ。
「珍しいですね。うらたさん達がそこまで言うなんて」
「俺ら自身もビビってるよ。でも、悪くないだろ？」
うらたが笑いながらまふまふに返していると、ふいに食堂の扉が開いた。
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りひと(プロフ) - 凍華＠ラさん» コメントありがとうございます。みなさまの応援のおかげで、ありがたいことにランキングに載ることができました。今後ともお楽しみいただけるよう更新してまいります。引き続きよろしくお願いいたします。 (2020年5月29日 19時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
凍華＠ラ(プロフ) - よくランキングに載っている作品だったので、少し気になって読ませていただきました。本当に面白くて、一気読みしてしまいました。続きが楽しみです。無理のない範囲での更新、頑張ってください！ (2020年5月29日 12時) (レス) id: 960374666f (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - over the rainさん» コメントありがとうございます。お楽しみいただけたこと嬉しく思います。今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。 (2020年5月26日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 続編おめでとうございます。題名に惹かれ読み始めてこらあっという間に3作品目でびっくりです。応援してます。 (2020年5月26日 6時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ありまさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しく思います。今後とも、何卒よろしくお願いいたします。 (2020年5月25日 18時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2020年5月24日 23時
