グットモーニング・トウキョウ【センラ】 (ページ17)

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その後、志麻はことある事に理由をつけて頻繁に名古屋を訪れるようになった。

Aのところに唐突に訪れては夜中までゲームをすることもしばしばだった。

センラとAが一緒にコンビニで新商品を買って帰る日には、志麻も含めた3人で食卓を囲むことも珍しい光景でなくなりつつあった。

その中でセンラは、少しずつではあるがAのその微妙な表情や仕草に気づきつつあった。

例えば、緊張している時は髪をいじるくせがあるだとか、好きなものがある時には口角が少し上がるだとか。

それから、彼女は動物に好かれやすい。

先日、3人で猫カフェに行った時のことだ。

落ち着いた店内には、5匹ほどの可愛らしい猫がいる。
客は少なく、ゆったりとしたソファ席に腰掛けた。

「なあ、なんでこいつらAちゃんのとこばっかり行くん？」

「なんでやろねえ」

そう言われる彼女の膝の上には、チャコールグレーのさらさらした毛並みの雑種が占領していた。

その脇にも二、三匹、彼女に甘えるようにぴったりと寄り添い、ゆらゆらとしっぽを揺らしている。

「あぁぁ！まじでそこ代われや！」

「志麻くん、猫相手になに言うてんの」

志麻くんはチャコールグレーの猫に向かって唸るよう言った。

そいつはその声に反応したのか、ちらりと志麻に視線を投げるも、知らん存ぜぬの我が物顔でAの膝の上を満喫している。

どうやら志麻くんは、Aちゃんの膝の上を占領されているのがお気に召さないらしい。

俺もしてもらったことないのに、と訳の分からないことを言っている。

一方の彼女はというと、志麻くんのことなど気にする様子もなく、膝の上にいる猫を撫でていた。

猫は満足気に喉を鳴らした。