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「たぬき、ですか？」
「そ。なんか、かわいくない？」
柵に肘を乗せて、うらたさんはたぬきの檻を眺めはじめた。
周りの人がほとんどいないのは、昼時だからだろう。
檻の中のたぬきは、うらたさんに感じるものがあるのか、怯えることもせず彼に近づいてくる。
「うらたさんって動物に好かれやすいタイプなんですか？」
「え？俺？どうなんだろ？」
「だって、このたぬき、うらたさんにすぐ寄ってきましたよ」
たぬきはもともと臆病で警戒心の強い動物だ。
そのたぬきが、警戒もせずにうらたさんに近づいてきたというのは、本当にめずらしい。
うらたさんに、なにかを感じたということなのだろうか。
「うらたさんがいい人だって、この子にも伝わったんですかね？」
たぬきを見ながらそう言うと、うらたさんはびっくりした様子でこちらを見た。
そして、みるみるうちに顔を赤くさせ、最後には大きく息をついてしゃがみこんでしまった。
「う、うらたさん！？すみません、私、なんかしちゃいましたか？」
慌てる私をよそ目に、うらたさんはうずくまったままだ。
檻の中のたぬきも、不思議そうにこちらを見ている。
「………ほんと、お前ってやつは」
うらたさんは、うつむいたまま呆れたように、そう呟いた。
「なんか、すみません？」
「……何も分かってないだろ？」
「……はい」
うらたさんはもう一度ため息をつくと、ちらりと横目でこちらを見た。
「お前のそういう、無意識なところ、ほんと心臓に悪い」
「……すみません？」
「疑問形かよ」
うらたさんはたまらず吹き出すと、ようやくこちらを見た。
「ほんと、そういうとこ、好きだよ」
今度は私が顔を赤くする番だった。
そんな不意打ち、ずるすぎる。
顔を赤くした私を、うらたさんは仕返しだと言わんばかりに面白そうに見つめている。
「見ないでください！」
「えー、やだ」
後ろを向こうとする私の両頬をぐい、とうらたさんは両手でふさいだ。
至近距離で見つめ合う形になって、私の顔はますます赤くなるばかりだ。
うらたさんのネフライトの色合いは、木々の木漏れ日のような暖かさをたたえている。
それが、うらたさんの優しさであるということに気づくのに、そこまで時間を要しなかった。
「A、」
うらたさんが、形のいい唇で私の名前をかたちどった。
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りひと(プロフ) - みかんさん» みかん様/ コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです♪今後ともよろしくお願いいたします！ (2020年1月1日 10時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 完結おめでとうございます！りひとさんの作品大好きです。これからも応援しています、頑張ってください！ (2020年1月1日 9時) (レス) id: 6edfb9ce46 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - しぃさん» しぃ様/コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！今後とも応援のほどよろしくお願いいたします！またコメントお待ちしておりますね♪ (2019年12月31日 20時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - まつりさん» まつり様/ありがとうございます！新年には新しい作品も投稿してまいりますので、今後ともよろしくお願いします♪またコメントお待ちしておりますね！ (2019年12月31日 20時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても好きな作品なので2人分のルートを作ってくださり、とても嬉しかったです！他の作品の更新も楽しみにしています (2019年12月31日 19時) (レス) id: 42c92e6201 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年12月24日 11時
