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携帯を耳に当てる。
間も無くして亮平の優しい声が耳に届いた。
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阿 「もし、もし…A？」
あ 「もし、もし？」
亮平の声ってすごく落ち着くなぁと改めて実感する。
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阿 「昨日舘さんから聞いた。体調はどう…？」
あ 「えっ、そうだったの…？」
阿 「うん。昨日深夜Aに電話かけてみたら舘さんが出たから。最初はびっくりしたけど…」
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そうだったんだ…
確かに私、あの後寝ちゃってた、もんね。
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っていうことは
昨日私と宮舘先輩が一緒に居たこと亮平は知っちゃったんだ…なんだか…
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あ 「病院行ったからもうすっかりよくなったよ…！明日には仕事復帰出来ると思う」
阿 「そっか。よかった…」
あ 「ごめんね。心配かけちゃって…」
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忙しいのに時間を縫ってわざわざ電話をかけてくれるなんて、本当に優しいなって…
心配してくれてるのかなって感じた。
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阿 「俺もこの後宮崎出るから…多分、夜頃にはこっち着けるかな」
あ 「そっか…頑張ってね？」
阿 「ありがと」
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声だけじゃ足りない。
『会いたい』そんな欲が私を支配する。
亮平を見て、触れて、感じたい…
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阿 「ねぇ、ひとつ聞いていい？」
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あ 「んっ…？」
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少し低くも、掠れたような色気のある声。
その声に不覚にもドキッとしてしまう。
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阿 「…舘さんとは何もなかったんだよね？」
あ 「…えっ」
阿 「昨日」
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何もなかった。思わず数秒黙り込んでしまう。
そう言われると素直にはい。とは言えないかもしれない…
だって、手は握ってしまったし、それを亮平がアウトって言うなら。
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で、も。
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あ 「うん。何も、ないよ…？」
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まぁ、そう答えるしかない…よね。
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阿 「…分かった。じゃあお大事に。また明日」
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そのまま途切れた彼との会話。
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もうこの胸の鼓動どうにも、ならない…
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作者名：くろーばー。
| 作成日時：2020年12月29日 22時
