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あ 「なんか言ってよ…」
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亮平はただ私を見つめるだけで何にも言わない。
その瞳はどこを見ているのか分からない…
今にも儚く散ってしまいそうな、そんな感じ。
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ねぇ、これも貴方の思惑通り？作戦通り？
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ばーか。って
調子いい顔で言って欲しい。たったそれだけなのに。
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阿 「…んー？」
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あ 「…っ」
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阿 「…ちょっとびっくりしちゃって、さ。ごめん…」
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びっくりしちゃった？
あっ、そっか…
さっきの『そうかもしれない』発言のことだよね…？
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亮平に限ってそんなことあるんだ。
そういうことを言われるのなんて慣れっこなんじゃないの…？
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この無言で、画面越しで、見つめ合う時間が…
亮平を近くに居るように錯覚させて、ドキドキする。
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駄目、だ。これ以上はもう…
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あ 「そろそろ寝よう、かな」
阿 「んっ…」
あ 「おやすみ、亮平、」
阿 「うん。おやすみ。身体あったかくして寝ろよ…？」
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画面の向こうで、亮平が私に手を振っている。
それにゆっくり振り返すと、ビデオ通話は途切れた。
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たったの7分。
でも、その7分が私にとってはすっごく長く感じて、幸せだった。
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あ 「、っ」
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ソファから立ち上がって、窓を開ける。
奇遇だな。見上げた景色は昨日と全く同じ夜空。
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亮平も今見ている…？この空。
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私、やっぱり駄目みたい…
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貴方が居ないと…
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亮平が近くに居ないと駄目みたい、なの…
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思いに耽るように
星が映えるそのロマンチックな夜空を見上げ続けた。
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作者名：くろーばー。
| 作成日時：2020年12月29日 22時
