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five. ページ5

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数秒の沈黙が流れる。


言葉が詰まって、うまく声が出せへん。





「…えっと、久しぶり、?」




沈黙を破ったのはしげの方。


やけど、その喋り方に少し違和感を覚えた。


喋り出した途端に顔を俯けて、
ぜんぜん俺と目を合わせてくれへんねん。


まあでも、それもそうか。
気まずいのは俺だけじゃないよな。


ここはさっさと引き上げた方が良さそう。



「あー…なんかごめんな?
じゃあ俺もう行くから。」



拙い喋り方で、地味に声が震えてしまう。


つい高校時代の癖で、
頭を撫でそうになった手を慌てて引っ込めてポケットに突っ込んだ。


なのに、その腕をしげが掴んでくるから反射でビクッとしてしまう。



「えっ、なに?」


「、撫でへんの?」


「へ?」



急にそんなことを言い出すから、
さすがの俺でもちょっと焦る。


相変わらず目は合わせてくれへんし。


どうしてんよ。
 



「…あ、ごめ、やっぱなんでもない」



そう言ってまた黙りこんでしまう。

どうしたら良いのか分からず

ぎこちなくやけどしげの頭を撫でた。



「こう、?」




しげは反応することなく俯いたまま。
 

俺の都合の良い幻覚だったんじゃないかと思って心配になっていると、微かに鼻をすする音が聞こえてきた。


まさかやけど、泣いてる…?



「あ、ごめん、嫌やったよな?」



慌てて謝ると、頭を横に数回振る。


違うってこと?



「じゃあ、」


「、俺にも分からんねんっ、
…なんやろ、あったかくて、っ安心したんかなぁ?」

 

安心て…


頭なら、おふざけやけど高校の時よく撫でてたやん。


何がそんな不安にさせたん?


今はしげがすごく小さく見えてしまう。



「…なんかあった?」




しげの目線に合わさるようにかがみ込んで
 

やっと、しっかり視線が絡み合う。



それと同時に、顔を歪ませてさらに泣きそうな顔をすんねん。


ほんまにどうしたんや。


ぐるぐる、頭の中で考えてると、
今にも消え入りそうな声でしげが言う。



「たすけてっ、」




そう、確かに俺の耳には届いた。




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溶けたラー油(プロフ) - 悪微ぢゃんさん» えっ、ですよね!!ありがとうございます!こういうコメント、すごくモチベがあがります(*´-`)これからも応援よろしくお願いします✊(いやいやむしろありがたいです!笑) (2021年10月1日 23時) (レス) id: 75ad06f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
悪微ぢゃん(プロフ) - コメント失礼致します!こたしげ尊いですよねぇ(´∀`)お話の続き楽しみにしています!主様のペースでこれからも頑張って下さい!応援してます!(上から目線ですみません。。笑) (2021年9月21日 0時) (レス) id: 03264a8bc6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:溶けたラー油 | 作成日時:2021年9月12日 23時

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