6* おい、機嫌直せよ ページ6
「ちなみに、どんなふうに謝ったん?」
「…謝ったつーかなんて言うか…」
羞恥心が強まり体がほてり、頭をポリポリかきながらいろんな方向に視線をキョロキョロさせながらポテチの袋を開けて机に広げる。坂田とまーしぃがすぐさま手を突っ込みお菓子を頬張った。
ほかのお菓子も開けつつ3人は俺から視線を外さなかった。あっさり塩味のクラッカーに挟まれた、程よい甘さのバニラクリーム。あぁ、Aみたい。あっさり塩対応に見えて中身は甘い。ぼーっとオレオを見つめていると。
「なんでオレオに惚れてんの」
「惚れてねぇよ」
「惚れてるのはAちゃんやもんな」
「うるせぇ」
「んで?どうやって言ったん?」
「とっとと素直になれよーって」
その瞬間3人は驚いたのか、凍りついたように動かない。ぽと、と音がして坂田が口の前まで持ってきていたオレオが落ちた。開いた口が塞がらないみたいだ。カバみたいに大口を開けたまま固まるから俺は少し戸惑った。
数秒後、はーっと長く重いため息が聞こえてセンラはおでこに手を当てて机にもたれかかった。
「……うーわ、うらさん乙女心分かっとらんわー」
「あかんわー」
「アウトやなー」
「…うっせぇな。」
分かってはいた。だけど、いざとなるとそんな発言しか出なかった。悔しさを噛み締めるように歯で噛み砕いた。
******
「……」
待っていた。
いつもの場所。家出てすぐの止まれの標識の前。だけど、違うことがあるのだ。空白ができたような寂しさを感じる。浦田と喋らずに一日が経とうとしているのだ。胸の底にありながら誰も口にしない不安を払いつつ、待っていた。
『…とっとと素直になれよ』
『………は?』
不意にでた言葉。唖然とした。びっくりして目が丸くなる。こいつ、散々文句言い捨てて昼ご飯もろくに一緒に食べずに何を言っているんだろう。心のもやもやと不安がシャボン玉のように弾けて怒りと驚きに生まれ変わった。
浦田の表情を見るのが怖くて、理由として我が家を見つけてとっとと玄関へ向かった。私も負けてはいられない。肺から溢れ出した怒りを浦田に捨てて直ぐに扉を閉めたのだ。
『謝るまで許さねぇとか言ったのはどこの誰なの?!』
『う、ぁ、ごめ―――』
バタンという扉の音に浦田の声はかき消された―――
「ムカムカしてきた…」
私怒りを足の裏に付けてズカズカと坂を登った。
*順位ありがとうございます*
*修正しました*
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Leaf(プロフ) - あ、はぁ………尊い。 (2018年10月8日 16時) (レス) id: b8ce9cd4fa (このIDを非表示/違反報告)
結月(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します!陰ながらずっと読んでおりました!凄く大好きな作品です^^*作者様のうらたさんのとても好きなので、また読める機会があれば嬉しいです。完結、おめでとうございます。 (2018年10月7日 11時) (レス) id: 286dc51d91 (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - maiさん» コメントありがとうございます。坂田さんの出番を少し増やしてみますね^^* (2018年9月28日 22時) (レス) id: b10484d3c8 (このIDを非表示/違反報告)
mai - ほんっとうにこの作品好きです!私は坂田家ですが、うらさんも好きなので楽しんで読んでます。坂田が出てくるとにやにやしてたり笑 (2018年9月24日 10時) (レス) id: 77b863b750 (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - 宮本 ?さん» コメントありがとうございます。世界中のこたぬき様へのプレゼントみたいな短編小説になればと思います〜! (2018年9月15日 23時) (レス) id: b10484d3c8 (このIDを非表示/違反報告)
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