ドッキリ系歌い手、今日も危険です【歌い手】

＊ ページ6

｢っ、離れて、…！｣



あぁ、演技も疲れたわ。ドッキリもクソもないわ。私は2人に怯えた声でそういうが、全く通用しない。そろそろトイレも行きたいからどいてほしい。切実に。


｢うんうん、怖いもんなぁ？｣

｢サラッと怖いこと言わんといてや…｣

｢……んぅ｣

｢寝るなや！！離れて！！｣

｢っひぁっ？！｣


さかたんはなんか妙に造られた優しい微笑みで私の頬を撫でるから、華麗にツッコミを入れた。まふくんに至ってはわたしの背中に揺られ、こくこくと眠っている。私がまふくんの耳元で叫ぶと彼はビクッと身体を震わせ、目を覚ます。


｢も"ーっほんま退いてってばぁ…｣

｢……A｣

｢っひ、……っも、まふくんやめ｣


まふくんが私の耳元で意地悪に囁く。背中側から腕を絡めて、私に軽く体重をかける。さかたんも負けじと私を抱きしめるような形をとり、私の頬に頬擦りをする。そして、まふくんはその意地悪な声のまま、耳元に＿＿＿＿







｢＿＿＿ドッキリだね？｣






｢バレとんのかい。｣


いや、即座に突っ込むわ。私は真顔で突っ込んだ。演技の涙を慌てて擦り取り、さかたんの肩を押し退け、まふくんの腕を剥がす。彼らはぷぷぷと笑った。



｢いや、バレとらんと思っとったん？｣

｢いや、私の一生懸命な演技無駄にすんなや｣

｢いやぁ〜演技でもその声がこうやって聞けて、ギリギリ攻めてるのって、楽しない？｣

｢楽しくない！！！！｣

｢泣き真似そそるから良くない？｣

｢良くないわ！！！！｣



結果:彼らの手のひらの上で転がされていた。



＊


しょうゆのすけです。

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