僕の部屋 ページ32
目を瞑った。Aに命を懸けた。
短く長い人生だったな、って思った。
(…さよなら、大切な人)
…が、Aが出て扉が閉まると壁の進みもぴたっと止まった。思わず『へ?』なんて間抜けな声が防音の部屋に響く。
まーしぃだった。彼は軽く壁をとんと押し『おっけーです』と言う。すると壁は引き下がって元の大きさに戻る。
ほっとするのも一瞬の事で、紫のゆるっとした上着のポッケに手を突っ込んで、他人事の様な表情で話しかけてきた。少し動揺したが、隙を見せたら負けだと思い普段通り__いや、少し睨むように見つめた。
「…このまま二人ともおサラバかと思ったわ」
「……死んでたまるかよ」
「ぁ、そだ。クラスみんなAちゃん達のこと心配しとったで?」
「…親に嘘ついて来たんだけど、その辺って学校側と入れ違って問題になってない?」
「その辺俺らが何とかしてる。…ちょいと悪ぃ方法やけど」
そう言って犬歯が見えるように二ィっと笑う。余裕そうな、久々に見る幼馴染に嫌気がさす。
「…まーしぃとセンラって、何者。お前ら何してるんだよ
___なぁ、ここにAを連れてきたの、間違い?」
そう聞くと紫の瞳を一瞬揺らし、無表情で俺を見つめた。何も言わない。それが逆に俺の脳内を掻き立てた。
「間違いやないで。」
足を1歩ずつゆっくり踏み出した。俺に近付いてくる。何一つ表情変えずに、1歩。そして俺の目の前に立ち、耳元に顔を近付け、嘲笑う。
「___罠に引っかかってくれて、どーも。」
そして俺の目元を手で覆った。暴れて手を離してもよかったが、友人に手を出すことは出来なかった。
それに、ショックが強すぎた。どこからが罠で、誰の手のひらの上に転がされていたのだろう。完全に敵対となってしまった大事な学校での友達のはずなのに、誰のせいで、俺達は___。
カッと見開かれた俺の目は、黒い視界の中で微睡んでゆく。
ゆっくり、意識を手放していく。
「…ごめんな、うらたん。」
*
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しらす - は?猫耳さかたんとか天使かよ (2019年4月23日 13時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆのすけ(プロフ) - Blackgirlさん» コメントありがとうございます。続編もご期待に添えるよう頑張らせていただきます (2019年2月24日 15時) (レス) id: d6c32b13a2 (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆのすけ(プロフ) - 歩さん» コメントありがとうございます。続編もよろしくお願いします…! (2019年2月24日 15時) (レス) id: d6c32b13a2 (このIDを非表示/違反報告)
Blackgirl(プロフ) - みんな一途で可愛い。続編期待してるで。 (2019年2月22日 23時) (レス) id: 61c7222caa (このIDを非表示/違反報告)
歩 - ついに続編ですか!!おめでとうございます!黒幕も出てきた(?)事だし、これからの展開が更に楽しみです!続編もふぁいとですっ! (2019年2月22日 20時) (レス) id: 13020661c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しょうゆのすけ | 作成日時:2019年1月21日 16時