* ページ17
「…おんなじ、ですね」
「……そうですね」
彼はそう言って笑ってみせた。なんだか信じたくなくて、すぐさま袖にリストバンドを隠した。彼はゆっくり私によってきて指を絡める。浦田の表情も見たくなくて床に目を伏せる。
「ちょ、なんで」
「今から10分間、どこかずっと触れ合っとかなければならないんですよ」
「それなら手なんて繋がなくても__」
「僕が、繋ぎたいんです」
すると口を挟んだのは浦田だった。
「なにそれ、ズリぃ」
「まぁ、ルールなんで…手出しはしないでくださいね?」
「煽るようなことすんなよ」
「……それなりに」
彼は浦田から目を離して濁すように呟いた。お題はお題だから、浦田もいつもみたいに突っかかってくる様子もなく、ただ私とセンラさんの様子を見つめている。
私は浦田を不安げに見つめていると彼はトンと肩を叩いた。
「うらたんは、見んといて」
片手で私の頬を優しく撫でて首元に顔を埋めてきた。くすぐったくてピクっと肩を揺らすと、センラさんはクスッと笑う。
「…いま、ピクってしたん?…可愛い」
「っ、そんなんじゃないです」
「ふぅん」
ゆっくりと、首元から唇へと近付いてくる。そして輪郭を指で優しく添わせて、とろんと微笑む。
そのままちゅ、とリップ音が鳴るような、浦田に聞かせるようなキスをした。一回だけでは済ませず、角度を変えて何度も軽いキスをする。
初めて会った人にキスなんてされて思わず「いやっ」と声を漏らす。手を離したいが、がっちりと指を絡められていて、気付いていなかったのだが、壁に追いやられている。
足だけでも反抗してやろうと思ったが、予想していたのか私の足と足の間に自分の足を滑り込ませて、手も足も絡まり放題だった。
だけど、キスは上手かった。手の絡め方も壁への追いやり方も。大人だった。そんな私を止めてくれたのはもちろん彼。
「…センラ、手ぇ繋いでるだけじゃ満足しねぇのか」
「うらたんはそこで指でもくわえて見とき?」
「まじ何がしてぇんだよお前…!」
彼も手が出せず、焦れったくその様子を見つめている。私は肩で息をして、色っぽく私をまた見つめる彼を睨んだ。
【00:00】
アラーム音が鳴った瞬間、今までがっちり掴まれていたセンラさんが横に吹っ飛んだ。浦田が回し蹴りで吹っ飛ばしたらしく、そのまま私の乱暴に胸ぐらを掴んだ。そして、
「……上書きさせろ」
噛み付くような、強引なキスを。
互いの好きな所を言わないと出れない部屋→←手を出しては行けない部屋
1056人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しらす - は?猫耳さかたんとか天使かよ (2019年4月23日 13時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆのすけ(プロフ) - Blackgirlさん» コメントありがとうございます。続編もご期待に添えるよう頑張らせていただきます (2019年2月24日 15時) (レス) id: d6c32b13a2 (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆのすけ(プロフ) - 歩さん» コメントありがとうございます。続編もよろしくお願いします…! (2019年2月24日 15時) (レス) id: d6c32b13a2 (このIDを非表示/違反報告)
Blackgirl(プロフ) - みんな一途で可愛い。続編期待してるで。 (2019年2月22日 23時) (レス) id: 61c7222caa (このIDを非表示/違反報告)
歩 - ついに続編ですか!!おめでとうございます!黒幕も出てきた(?)事だし、これからの展開が更に楽しみです!続編もふぁいとですっ! (2019年2月22日 20時) (レス) id: 13020661c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しょうゆのすけ | 作成日時:2019年1月21日 16時