首筋に噛みつかないと出れない部屋 ページ11
いま、何時だろう。
いつまでこんなことしているのだ?というかこれは夢なのか現実なのかも分からない。寝ているまふを起こす気にもならない。
部屋の中で待ってた側の人が起きるまでお題も制限時間も始まらないことに気が付き、彼をそっと寝かしたまま、ぼぅっと考え事をしていた。
今、警察が私とまふ達を探しに来てくれているのかな…親も、みんな探してくれてるのかな、窓も無いから時間感覚が狂ってきていた。あと
「…お腹空いた……」
そう独り言を漏れるとぐぅ、とお腹の音がなった。突然ピロリン!とかわいい音がなり、モニターに文字が出てきた。
【首筋に噛みつかないと出れない部屋】
【15分以内に実行してください】
「っま、まふ」
「…ん、?」
この言葉の意味よりも先にまふをゆさゆさと揺らし起こした。彼は目を擦り目を細めてモニターを見つめた。
「これ、どういう意味?」
「え、待ってそのセーターやばくない?」
「し、死ぬ…?」
二人とも質問ばかり。私は自分の首筋に手を当てた。血が通っているのが分かる。ここを噛みつかれたら…。
「そ、即死…」
「僕がどう噛み付くと思ってるの????」
まふは私の反応がそこまでおかしかったのかくすくす笑った。そしてはーっとため息をついた。
「それね、僕が気持ちよくできる方法あるんだよ…?」
「いや、普通に死ななくて何も感じないのがいいんだけど」
「…そういう意味じゃない」
私が真顔で気持ちいいことなんていいから簡単な方法が知りたいと言えば、まふは明らかに不満そうな顔をした。
私にどう答えて欲しいのか、どう接して欲しいのか。私はたとえ縁が切れようと喧嘩になろうとどうでも良いからてきとうに関わる。
「…どうしてAはこんな話を男と2人でしててなんにも思わないの?」
「…早く出たいって切実に思ってる」
「確かに何も思ってないことは無かったけど、僕が思って欲しいこととは違うね」
どこかすれ違っているみたいで彼は頭を悩ませた。そしてヤケになってこう言った。
「だーかーらっ僕をもっと男として見てくれってことだってば!」
こいつ、声高くて透き通ってる…。だけど私はここまでまふが言ってくれても何もピンと来なかった。
「あなたを女と思ったことは無いけど」
「それも違うってば…」
吹っ切れたまふは私の肩をトンと押した。視界が反転した。
「…鈍感?それとも無知?…それともわざと?」
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しらす - は?猫耳さかたんとか天使かよ (2019年4月23日 13時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆのすけ(プロフ) - Blackgirlさん» コメントありがとうございます。続編もご期待に添えるよう頑張らせていただきます (2019年2月24日 15時) (レス) id: d6c32b13a2 (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆのすけ(プロフ) - 歩さん» コメントありがとうございます。続編もよろしくお願いします…! (2019年2月24日 15時) (レス) id: d6c32b13a2 (このIDを非表示/違反報告)
Blackgirl(プロフ) - みんな一途で可愛い。続編期待してるで。 (2019年2月22日 23時) (レス) id: 61c7222caa (このIDを非表示/違反報告)
歩 - ついに続編ですか!!おめでとうございます!黒幕も出てきた(?)事だし、これからの展開が更に楽しみです!続編もふぁいとですっ! (2019年2月22日 20時) (レス) id: 13020661c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しょうゆのすけ | 作成日時:2019年1月21日 16時