動物好かれがたぬきに好かれました【うらたぬき】

誤解 ページ8

｢私も帰らなきゃ｣



夕暮れ時になった。

私は1人で花壇の作業を終え、帰ることにした。


真冬くんがいないと寂しいなぁ。





靴箱に向かい、近くにあるロッカーにゴム手袋とジョウロをなおす。


そして振り返ると目の前に人の顔。






そして唇にあたる感触。


｢んっ……？！｣

離れるとぎゅっと抱きついてきた。








ガタン！！


何やら物音がして抱きついてきた人が離れた。

前、路上で押し倒してきた人だ。




初めてのキス取られた。

ショックが強すぎて固まった。



｢……好きで好きでたまんないんだけど｣


そう言ってまだ口を塞ぐ。






あなたは誰……。

甘い……甘い………。あなたはだーれ？

とろんとしてきた。


視界につうる……走る真冬…くん……。






｢？！｣


私はドンッとさっきの人の胸板を押し、真冬くんに向かって走り出した。



見られてた……？！


さっきの物音って………もしかして………！？









―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



｢キスできた―――。｣





1人でぼそっと言う。いわゆる独り言。


全てが愛おしい。



勝手に引き寄せられてしまう。


確かあの子、動物に好かれすぎている子だっけ？

僕のものにしたい。

ぎゅっとしていてすごく落ち着く。






………僕は、うらたぬき…………。





僕は………タヌキ？？？

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