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別れは突然訪れるもので。
亮平から少し会えないかな？と連絡があり、大学の近くのカフェに行くと、とりあえず座って、と促されて亮平の向かい側に座る。
もうすぐ亮平は大学院を卒業するし、一緒に旅行しない？とか、一緒に住まない？とかかな、と嬉しいお話だと考えていた。だけど……
「Aごめん。…俺と、別れてほしい」
『え、なんで、』
わたしは亮平のことが好きで、亮平もわたしのことを好きだと思ってて。喧嘩をしてもその日のうちには仲直りして、ずっと二人で笑ってたいねって話してたのに、
「ずっと隠してたんだけど、実は俺ジャニーズで、この間同じグループのメンバーが週刊誌に撮られた」
『……』
「まだジュニアだからそういうのは大丈夫って思ってたけど、メンバーが撮られたのを知って、次は俺なんじゃないかって、……俺は夢を諦めたくないから、ごめん、」
『………そっか、』
それなら仕方ないよって笑って返そうと思ったのに、全然笑えなくて、涙が溢れて止まらなくなって、
「ほんとにごめん。できれば連絡先も、消してほしい」
『っ……ん、わかった』
震える手でスマホを開いて亮平の連絡先を消す。
もう、亮平と連絡取れなくなるんだ。
一緒にお家デートしたり、キャンパス内で一緒にお昼を食べたり、授業の合間に会ったり。…全部、出来なくなるんだなぁ、
そういえば1回生の頃、友達が言ってた気がする。
この大学にはジャニーズがいるんだって。その時は4回生って言ってたから、今大学院2年生の亮平は、友達が言っていたことに当てはまる。
そっか、この大学にジャニーズがいるっていうのは、亮平のことだったんだ。だから、付き合ってること誰にも言わないでって言われたのか。
今まで亮平に言われたことが、この瞬間、パズルのピースが綺麗にはまったみたいに、全て理解出来た。
「…今までありがとう。元気でね、A」
『こちらこそ、今までありがとう。亮平も元気で。ちゃんと、夢叶えてねっ、』
「ん、ありがとう」
それからすぐ、亮平は大学院を卒業した。わたしも4回生になり、卒論や就活に追われながら日々を過ごしていると、亮平のことも自然と考えなくなっていって。
だけど、ある日、ふと点けたテレビ番組に亮平が映っていて。いつの間にかデビューも決定していて、本当に夢を叶えたんだって、嬉しくなったと同時に、もう届かない存在になったのだと、実感した。
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作者名：陽梨
| 作成日時：2021年4月9日 0時
