梵天首領にさらわれたけど多分人違い

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そりゃそうだよな

普通、反社が教育ビデオ撮るはずがないよ

目の前で繰り広げられる惨劇を無心にして見る


司会は三途さんとアナウンサーっぽい人が

務めている


モブA「薬ブツ乱用教室の時間だよ」

防止の文字はどこいった


モブA「クスリをやってると人はどうなるか

今日はお兄さんたちと一緒に見てみよう！」


よくある教育ビデオの導入みたいだ

後ろにいる演者の人たちと、司会の隣で目が

明後日の方向いている三途さんを除けばの話だけど


モブA「演者の皆さーん始めますよ」

三途「オラッ動いてんじゃねぇ」



三途さんが演者の足を蹴る。

鈍い音がして、演者は抵抗する動きを見せなくなった。


三途「んじゃあ飲ませていくぞー」


三途さんは演者の腕に注射器を打つ。

びくんと演者が大きな痙攣をした。

猿轡からは涎があふれ、手足はやたらめったらに

動いている。

素人目でも、明らかに正気ではないのがわかる。


『マイキーさん、マイキーさん私帰ってもいいですか？

トラウマになりそうです』潜めた声で言う。

マイキー「んーーだめ❤︎」



よく見ててと、マイキーさんは何気サイコパスっぽい

発言をした。


もしも、これを見たのが本当のAちゃんだったら

どんな反応をするのだろうか。

ふとそんな考えが浮かんだ。

最近、マイキーさんの言うAちゃんのことが

気になり出した。

仮にも、間違えられて誘拐されたわけだし。

少しくらい知る権利はあると思う。

マイキーさん曰く、あまり笑わない人らしい。

でも時々見せる笑顔がとんでもないくらいに

可愛いそうだ。

…………なんだろ、この気持ち。

考えないほうがいい、知らない方がいいと

分かってるのに、考えてしまう、知ろうとしてしまう。

結局自分は代用品でしかない。

私はAちゃんではない。

それなのにマイキーさんは私には有り余るほどの

たくさんの愛を捧げてくれる。

それは私にとっては苦痛でしかない。


愛を捧げてくれるのが

他人であるマイキーさんというのもある、

でも私の中で私を苦しめ縛っているのは、

マイキーさんが私を通して

誰かを見ているということだ


それは拷問を受けているよりも辛い

ふと、視線を演者たちの方へ向ける

彼らと私、何が違うんだろう

薬を打たれ、苦悶や恐怖から解放された彼らに

私は少々の嫉妬と憧れの念を抱いた


ちなみに、撮影会が終った後日

教育ビデオは正気に戻った九井さんに

全部燃やされたらしい。

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