キラキラキライ02 ページ6
「A困ってるし、田中さん飲み過ぎやって。ベッドで寝えや」
そう促したいっくんを、拗ねたような表情をした田中さんは見事に無視する。今一度声を掛けようとした彼に、”手の掛かるおっさん”にお水を入れて欲しいとお願いすると、早くも諦めたのか小さく笑った彼はパソコンを机の上に置いてリビングへ消えていった。頬を赤くした田中さんが重たそうな瞼を持ち上げてあたしを見つめてる。
「……なに」
強請るような瞳をした彼は、腕で顔を隠した後小さな声で言った。
「俺さ、あの人の事凄く好きなんだけど、なかなか上手くいかないの。なんでだと思う」
好意を寄せている女性を思い出したのか、女って難しいと呟いた彼。目を細めたあたしは今にも寝ちゃいそうな柔い金髪を眺めた。歳下のあたしに恋愛相談とかしちゃって、慰めて欲しいとかお願いしてきて、しかも自分が歳上のくせに。彼はどうしてこうも子供っぽく見えるのだろう。
「なんやろ。ちょっと強引なんじゃない?」
「…え?女って強引なの好きでしょ」
「いや、みんながみんなそうでは無いと思うし、タイミングってものがあるやん」
「タイミング…」
「頑張りーや。そんな事で諦めんとまた今度ご飯誘えばいいねん」
元気出してと付け足した言葉に”うん”、そう返事してふと起き上がった彼があたしの唇に触れるか触れないかのキスをした。離れていく唇に動きを止めたあたしと、ヘラヘラと笑ってまたあたしの膝の上に寝転がった田中さん。後ろの方でガシャンとコップを落とした音が聞こえた。
「な、…え………嘘やろ」
見てはいけないものを見てしまったみたいに驚くいっくんだが、突然の出来事にあたしは声すらも出なかった。
「……………」
「…A?」
あたしの方を覗き込んでくるいっくんの青色の髪と、自分の膝の上にある金色の髪、隣で眠る赤色の髪の全てが視界に入る。明るい三色が混じってチカチカした。
「……………」
「……大丈夫?」
尋ねてきた彼の方へ目をやった。心配そうな顔をしてる彼にあたしは頷く。
「うん」
「ほんまに大丈夫?」
「うん」
あたしの膝の上で微かに寝息を立てて眠る田中さんの呼吸の音が聞こえる。
「…………」
視界から消えていく不安そうな彼の顔。その後、あたしは何をするでもなく後ろでいっくんがガラスを片付ける音をぼうっと聞いていた。
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匿名(プロフ) - ゆさん» お返事遅くなりました。嬉しいコメントありがとうございます!実は私もお気に入りな、そらクイズです ^ ^ カップル設定はあまり書かないので、たまには仲良しもいいかなと思ってクイズ形式にしました(笑)また近々そらクイズかけたらな〜と妄想を膨らませています (2019年10月29日 0時) (レス) id: ffeb5d68ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - そらクイズが好きすぎて何回も見に来てしまいます…! (2019年2月4日 10時) (レス) id: 2e24e32ba3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 渡邊琥覇紅さん» あ、気が合いそうですね!これは少々マニアックかしら…( ゚д゚)と不安だったので、凄く嬉しいです^ ^ 私もジン君はこういう事して笑ってそうと思ったので、書いてて楽しかったです。でも実際されたら速攻別れると思います!メッセージありがとうございました! (2017年4月30日 20時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
渡邊琥覇紅(プロフ) - 匿名さん» いっくんをからかうの、凄くよかったです!!読んでて可愛いって思いましたw ジンくんの沈溺プレイ、一番好きです!ジンくんっぽいな、と思いました。更新楽しみにしてます! (2017年4月30日 13時) (レス) id: 8dd5b17f5a (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 荒黒#*.mitukiさん» ヒカルさんって書こう書こうと思えば思うほど出てこないのに、たまに天から脳内にエピソードが降ってくるように話を思いつくタイプの人です^ ^あと、ついつい髪の毛いじっちゃうんです(笑)個性的で似合ってますよね^ ^メッセージありがとうございました! (2017年4月25日 17時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名 | 作成日時:2017年3月1日 22時