反省して・よ°Hikaru ページ39
金と黒の境目が好きだった。自信に満ちていたあの瞳が好きだった。勝ち誇ったような言い回しも、尽きることを知らない無い余裕も、全てが好きだった。だけどもう彼は無茶を言わない。瞳は伏せたままで、余裕も何処かに置いて来たらしい。綺麗に分けられていた二色は既に無くなった。
「カリスマ、元気出して下さいよ」
あれから撮影をしなくなった彼は、自宅で別の仕事をしてる。ソファーに座る彼を覗き込んだあたしをちらりと見たヒカル。少し不機嫌そうだ。
「ああ。そんな顔して、カリスマらしくもない」
「……バカにしとるん?」
「勿論」
プライドの高い彼の事だ。自分のちょっとしたミスを、しかも彼女にイジられるなんて至極嫌だろう。でもあたしにとって絶好のチャンスタイムなのだ。いつも意地悪されてる分、ここでちょっぴり仕返ししておきたいと思う。
「カリスマ、今日のご飯どうする?」
「…………」
「カリスマの好きなものにする?」
「…………」
「カリスマは何食べたい?」
「…………」
「カリスマはさぁ」
「やめろって、それ」
「あ、やっと喋った」
からかうように言えば、ヒカルは無愛想な感じであたしから目を逸らした。クスクスと笑ったあたしは黒で染められた彼の髪の毛に鼻を寄せる。シャンプーの香りに混じり、少し人間っぽい匂いもした。鼻をすんと鳴らしたあたしは彼の頭を抱いて呟く。
「いっぱい怒られちゃったね」
あたしがそう言うと眉をひそめた彼は「そうやな」と静かに頷いた。
「お兄さん、反省してますのん?」
俯いたままのヒカルは何も言わない。真っ黒けの髪をくしゃくしゃと両手で梳けば、彼はううと唸り声のようなものを上げる。
「髪の毛真っ黒になっちゃったな。あの色好きやったのになぁ」
「……………」
「でも黒も似合うで。年相応って感じ」
そう言うと、おもむろに顔を上げた彼はあたしの鼻先にキスをした。不思議な場所にするなぁと思って彼を見下ろしたあたし。
「なに、なんで口じゃないん」
「自分を
「アホやなぁ……」
所詮カリスマなんてひとときの賞賛。唯の仮初めに過ぎなかった。
”
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匿名(プロフ) - ゆさん» お返事遅くなりました。嬉しいコメントありがとうございます!実は私もお気に入りな、そらクイズです ^ ^ カップル設定はあまり書かないので、たまには仲良しもいいかなと思ってクイズ形式にしました(笑)また近々そらクイズかけたらな〜と妄想を膨らませています (2019年10月29日 0時) (レス) id: ffeb5d68ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - そらクイズが好きすぎて何回も見に来てしまいます…! (2019年2月4日 10時) (レス) id: 2e24e32ba3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 渡邊琥覇紅さん» あ、気が合いそうですね!これは少々マニアックかしら…( ゚д゚)と不安だったので、凄く嬉しいです^ ^ 私もジン君はこういう事して笑ってそうと思ったので、書いてて楽しかったです。でも実際されたら速攻別れると思います!メッセージありがとうございました! (2017年4月30日 20時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
渡邊琥覇紅(プロフ) - 匿名さん» いっくんをからかうの、凄くよかったです!!読んでて可愛いって思いましたw ジンくんの沈溺プレイ、一番好きです!ジンくんっぽいな、と思いました。更新楽しみにしてます! (2017年4月30日 13時) (レス) id: 8dd5b17f5a (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 荒黒#*.mitukiさん» ヒカルさんって書こう書こうと思えば思うほど出てこないのに、たまに天から脳内にエピソードが降ってくるように話を思いつくタイプの人です^ ^あと、ついつい髪の毛いじっちゃうんです(笑)個性的で似合ってますよね^ ^メッセージありがとうございました! (2017年4月25日 17時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名 | 作成日時:2017年3月1日 22時