検索窓
今日:8 hit、昨日:8 hit、合計:238,941 hit

反省して・よ°Hikaru ページ39

金と黒の境目が好きだった。自信に満ちていたあの瞳が好きだった。勝ち誇ったような言い回しも、尽きることを知らない無い余裕も、全てが好きだった。だけどもう彼は無茶を言わない。瞳は伏せたままで、余裕も何処かに置いて来たらしい。綺麗に分けられていた二色は既に無くなった。

「カリスマ、元気出して下さいよ」

あれから撮影をしなくなった彼は、自宅で別の仕事をしてる。ソファーに座る彼を覗き込んだあたしをちらりと見たヒカル。少し不機嫌そうだ。

「ああ。そんな顔して、カリスマらしくもない」

「……バカにしとるん?」

「勿論」

プライドの高い彼の事だ。自分のちょっとしたミスを、しかも彼女にイジられるなんて至極嫌だろう。でもあたしにとって絶好のチャンスタイムなのだ。いつも意地悪されてる分、ここでちょっぴり仕返ししておきたいと思う。

「カリスマ、今日のご飯どうする?」

「…………」

「カリスマの好きなものにする?」

「…………」

「カリスマは何食べたい?」

「…………」

「カリスマはさぁ」

「やめろって、それ」

「あ、やっと喋った」

からかうように言えば、ヒカルは無愛想な感じであたしから目を逸らした。クスクスと笑ったあたしは黒で染められた彼の髪の毛に鼻を寄せる。シャンプーの香りに混じり、少し人間っぽい匂いもした。鼻をすんと鳴らしたあたしは彼の頭を抱いて呟く。

「いっぱい怒られちゃったね」

あたしがそう言うと眉をひそめた彼は「そうやな」と静かに頷いた。

「お兄さん、反省してますのん?」

俯いたままのヒカルは何も言わない。真っ黒けの髪をくしゃくしゃと両手で梳けば、彼はううと唸り声のようなものを上げる。

「髪の毛真っ黒になっちゃったな。あの色好きやったのになぁ」

「……………」

「でも黒も似合うで。年相応って感じ」

そう言うと、おもむろに顔を上げた彼はあたしの鼻先にキスをした。不思議な場所にするなぁと思って彼を見下ろしたあたし。

「なに、なんで口じゃないん」

「自分を(いまし)めるため」

「アホやなぁ……」

所詮カリスマなんてひとときの賞賛。唯の仮初めに過ぎなかった。
仮初め(カリソメ)”と”カリスマ”で(いん)踏んじゃったと彼の耳もとで囁けば、彼はくすぐったそうにしてからもう何も言わなくなる。嗚呼、あたしの可愛い人。馬鹿馬鹿しい称号など捨てて、これからは彼氏として真面目に頑張って下さい、元カリスマさん。

あまいあまいにがい°Jin→←サイセイスル02



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (162 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
444人がお気に入り
設定タグ:YouTuber , アバンティーズ , マホト   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

匿名(プロフ) - ゆさん» お返事遅くなりました。嬉しいコメントありがとうございます!実は私もお気に入りな、そらクイズです ^ ^ カップル設定はあまり書かないので、たまには仲良しもいいかなと思ってクイズ形式にしました(笑)また近々そらクイズかけたらな〜と妄想を膨らませています (2019年10月29日 0時) (レス) id: ffeb5d68ca (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - そらクイズが好きすぎて何回も見に来てしまいます…! (2019年2月4日 10時) (レス) id: 2e24e32ba3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 渡邊琥覇紅さん» あ、気が合いそうですね!これは少々マニアックかしら…( ゚д゚)と不安だったので、凄く嬉しいです^ ^ 私もジン君はこういう事して笑ってそうと思ったので、書いてて楽しかったです。でも実際されたら速攻別れると思います!メッセージありがとうございました! (2017年4月30日 20時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
渡邊琥覇紅(プロフ) - 匿名さん» いっくんをからかうの、凄くよかったです!!読んでて可愛いって思いましたw ジンくんの沈溺プレイ、一番好きです!ジンくんっぽいな、と思いました。更新楽しみにしてます! (2017年4月30日 13時) (レス) id: 8dd5b17f5a (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 荒黒#*.mitukiさん» ヒカルさんって書こう書こうと思えば思うほど出てこないのに、たまに天から脳内にエピソードが降ってくるように話を思いつくタイプの人です^ ^あと、ついつい髪の毛いじっちゃうんです(笑)個性的で似合ってますよね^ ^メッセージありがとうございました! (2017年4月25日 17時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:匿名 | 作成日時:2017年3月1日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。