いじわる°Ikkun ページ23
人が行き交う騒がしい昼間のカフェの中、ビデオカメラから見える男女の姿にフォーカスを当てる。レンズの奥に映るのはデレデレした田中さんと、彼の前に座って微笑むあたしよりもずっと歳上の美人。
「ホテルに行く瞬間、絶対カメラに収めてやる。そして動画にしてやる」
呟いたつもりが側に居たいっくんにも聞こえていたらしい。あたしと同じように二人の方を見た彼がテーブルに頬杖をつく。
「あれ多分出会い系じゃないって、俺は彼女やと思うけどな」
あたしだってそう思ってるけど、絶対認めたくない。だからって”そうであって欲しくないから撮影を理由に尾行してるの!”とも流石に言えない。楽しそうに会話して笑う田中さんの、彼女へ送る目線をあたしは追いかけた。あれはどう見ても恋してる目。
「それにしてもどこであんな美人と出会ったんやろう。憧れのお姉さんみたいな、ああいうのいいよね」
目鼻立ちの整った彼女を眺め「あれがメンバーやったら、それはそれでめっちゃ良いシチュエーション」そう呟いたいっくんに眉をひそめる。
「美人でもお姉さんでもなくて悪かったな」
食い気味にそう返せば、途端にいっくんはあたしを鼻で笑った。
「笑うとこじゃないんやけど」
青い髪を揺らしたいっくんに目をやれば、彼はヘラヘラしながらあたしに視線をやる。
「ごめんごめん。A、田中さんの事好きやもんね」
思っても見なかった彼の言葉に、あたしの顔は自分でもわかるぐらい真っ赤になった。
「す、す、好きじゃない」
「動揺してる」
「してへんって!」
「目が好きって言うてるよ」
「目は喋らへんもん!」
メニューを片手にしたいっくんを凝視すれば、柔らかく微笑んだ彼に「お腹すいたね」と話を逸らされた。そっちから振ってきたくせにと顔を火照らせたあたしだが、確かにお腹は空いた。
「あたしも食べる」
「俺が出すし、好きなもの頼み」
「え?」
「食べたいもの食べな」
頬杖をついてそう言った彼に溜息をついて、ずっと覗いていたカメラを机へ下ろしたあたしはいっくんを指差す。
「…いっくん、前々から思ってたけど。誰彼構わずそういう事言うたらダメやで」
「そういう事?」
「思わせぶりみたいな、女の子って優しい言葉に弱いんやから。好きになられても困るやろ?」
「ははは、そうなんや」
女の子って簡単やねと軽く笑った彼は穏やかな眼差しであたしを見てる。コノヤロー、信じてないな。
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匿名(プロフ) - ゆさん» お返事遅くなりました。嬉しいコメントありがとうございます!実は私もお気に入りな、そらクイズです ^ ^ カップル設定はあまり書かないので、たまには仲良しもいいかなと思ってクイズ形式にしました(笑)また近々そらクイズかけたらな〜と妄想を膨らませています (2019年10月29日 0時) (レス) id: ffeb5d68ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - そらクイズが好きすぎて何回も見に来てしまいます…! (2019年2月4日 10時) (レス) id: 2e24e32ba3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 渡邊琥覇紅さん» あ、気が合いそうですね!これは少々マニアックかしら…( ゚д゚)と不安だったので、凄く嬉しいです^ ^ 私もジン君はこういう事して笑ってそうと思ったので、書いてて楽しかったです。でも実際されたら速攻別れると思います!メッセージありがとうございました! (2017年4月30日 20時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
渡邊琥覇紅(プロフ) - 匿名さん» いっくんをからかうの、凄くよかったです!!読んでて可愛いって思いましたw ジンくんの沈溺プレイ、一番好きです!ジンくんっぽいな、と思いました。更新楽しみにしてます! (2017年4月30日 13時) (レス) id: 8dd5b17f5a (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 荒黒#*.mitukiさん» ヒカルさんって書こう書こうと思えば思うほど出てこないのに、たまに天から脳内にエピソードが降ってくるように話を思いつくタイプの人です^ ^あと、ついつい髪の毛いじっちゃうんです(笑)個性的で似合ってますよね^ ^メッセージありがとうございました! (2017年4月25日 17時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名 | 作成日時:2017年3月1日 22時