薄幸な人 ページ32
【夢主目線】
首領が謝罪しただと……?私に?
彼は自分の暴挙に罪悪感があったとでも言うのか?
マフィア一、冷徹非道なこの人にも人並みの罪悪感というものが存在するのか?
私の頭は一瞬にしてクエスチョンマークで満たされてしまった。
首領「君を幾度となく傷付け、虎馬を植え付けた暁に監獄に放り込むだなんて。本当に許されない行為をしたと思っているよ。」
嗚呼、やめてよ。それじゃあまるで……
貴方が善良な人に見えてしまう。
また信じてしまうじゃないか。
また騙されて仕舞うではないか。
彼は悪魔の様な人間であると私はつくづく思っている。
首領「だけれども、これも全て君の為だったのだよ。こうして君が居るのも地上戦に巻き込まず済んだからなんだ。」
首領の言い分とすると、私を監獄に隔離したのは私の諜報行為の疑いだけではなかったという訳だ。
まあ、それさえも疑わしく思えてしまうのが現状だが。
私は目を伏せて一言。
「……分かっています…。」
とだけ言った。
すると首領は安心した様に微笑んでまた話し始めた。
首領「分かってくれたところで早々悪いのだけれど、勝手ながら先程探偵社社長と取引をしてね。向かわなければならない場所があるんだ。」
そう言って私の手を引くとビルのエントランスに付けるように止められている黒塗り車に案内した。
そうして乗るように指示されたので其れに従って車に乗り込んだ。
大きな空間が空いた車には私と首領、二人しか乗らなかった。
何時になっても首領が取引の内容を話そうとしないので妙に思って私は首領に質問を投げ掛けた。
「………あの首領。取引とは一体どの様な?」
すると首領はまたあの貼り付けた様な笑みを浮かべて、
首領「向こうに着いてから説明しよう。」
とだけ言って余談を許さなかった。
それは私の意見なんてハナから気にしないという姿勢の様にも思えた。
そうこう悩んでいるうちに車は何処か開いた場所で止まった。
庭園の様な場所だ。
首領は車から降りるとドアを手で抑え、もう片手で私に手を差し伸べた。
首領「さあ、降り給え。」
ここで私は気付いてしまった。
首領が外出用の装いをしていないのだ。
あの胡散臭い町医者の格好を。
しかも護衛が二人。首領の警護にしては少ない。余りにも少な過ぎた。
この妙な状況に戦慄を覚えながら、私は其の手を取った。
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葵(プロフ) - 飽き性さん» ご丁寧なご指摘ありがとうございます(/Д`;応援ありがとうございます(^^♪頑張ります! (2018年8月1日 13時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
飽き性(プロフ) - 本編の方で福沢が福澤になってますよ。この小説大好きです!通知来る度うきうきしてます!無理せずこれからも更新頑張って下さい! (2018年7月31日 2時) (レス) id: 7dd1ea514d (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 雪奏さん» お気に召して頂けた様で大変嬉しく思います(^^♪どうか最後までお付き合い下さい(^ ^) (2018年7月25日 19時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
雪奏 - すごく面白いです!応援してます!壁|ョ・ω・`o)ガンバッテッ♪ (2018年7月22日 22時) (レス) id: edf769ece4 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - #祭鼓*@harigaya mako*さん» 応援のコメント大変嬉しく思います!最近仕事の方が激務を増して今して忙しいので更新が滞っていますがどうか最後まで読んで頂ければと思っております(^ ^) (2018年6月18日 23時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎそーまっち | 作成日時:2018年6月9日 18時