何かが違う ページ15
【夢主目線】
────スタッ!!!
体に人肌を感じながら地面に着いた音がした。
薄目を開けて見てみる。
この不服そうな顔は……。
中也「何回落ちりゃ気が済むんだ手前はよ……。」
妙な既視感からか何時までも其の瞳から目が離せなかった。
それと同時にある違和感を覚えた。
「……あ、ありがとう…ございます……。助かりました…。」
私は礼を言ってゆっくりと地面に足をつけた。
どうやら反対側の防波堤まで飛ばされた様で、数百メートル先には絶えず黒煙を吐き続ける大型客船があった。
中也「おう。怪我は無かったか?」
「…あ、はい。それより瞼から目の下にかけてどこかで擦りむきましたか?血は出てないみたいですけど。引っ掻いてしまっていたらすみません…。」
中也「……え、あ。全然気付かなかったなァ。」
そう言って中原幹部は軽く動揺しながら中指で自らの瞼を撫でた。
すると不意に潮風と共に鼻をくすぐる爽やかな匂いがした。
「……幹部、唐突ですがハーブティー飲めるようになったんですか?」
中也「……へ?」
中原幹部は案の定眉間に皺を寄せた。
「今、幹部の方からハーブの香りがしたので……。」
中也「…嗚呼、ついさっき飲んで来た。」
いや、何かおかしい。
「ハーブティーお嫌いでは…?」
中也「首領の趣味が利き紅茶だからな。飲めるようになったんだよ。」
首領は紅茶より葡萄酒に詳しい筈……。
それにもしそうだとしても態々その趣味を部下に押し付ける様な真似をする人じゃない。
疑念は絶えず沸き起こった。
“其れ”は見た目は中原幹部なのだが、中身が別人の様な。
そう言うなれば、まるで……
幹部の皮を被っているような────
そう言えば三手目として幹部は探偵社への乗り込みが予定されている筈。
私は様々な疑問を押し殺して問うた。
しかし、この質問が幹部の化けの皮を剥がすことになるとはまだ知らなかった。
「………そう言えば、任務に行かなくてよろしいのですか?」
すると中原幹部はあからさまに同様してから、へらっと笑った。
中也「嗚呼!僕とした事がすっかり忘れちまってた!」
────“僕”?
中原幹部って僕っ子だったっけ……。
急に目の前に居る“其れ”が恐ろしくなって二、三歩身を引いた。
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葵(プロフ) - 飽き性さん» ご丁寧なご指摘ありがとうございます(/Д`;応援ありがとうございます(^^♪頑張ります! (2018年8月1日 13時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
飽き性(プロフ) - 本編の方で福沢が福澤になってますよ。この小説大好きです!通知来る度うきうきしてます!無理せずこれからも更新頑張って下さい! (2018年7月31日 2時) (レス) id: 7dd1ea514d (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 雪奏さん» お気に召して頂けた様で大変嬉しく思います(^^♪どうか最後までお付き合い下さい(^ ^) (2018年7月25日 19時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
雪奏 - すごく面白いです!応援してます!壁|ョ・ω・`o)ガンバッテッ♪ (2018年7月22日 22時) (レス) id: edf769ece4 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - #祭鼓*@harigaya mako*さん» 応援のコメント大変嬉しく思います!最近仕事の方が激務を増して今して忙しいので更新が滞っていますがどうか最後まで読んで頂ければと思っております(^ ^) (2018年6月18日 23時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎそーまっち | 作成日時:2018年6月9日 18時