異物混入 ページ11
【夢主目線】
不味い。この状況は非常に不味い。
私が今居る場所は……。
コンテナの中である。
それも梶井さん特製の檸檬爆弾が詰まったコンテナの中である。
ちょっとでも其れに触れれば正に木っ端微塵。
[一触即発]とはこの事である。
何故この様な事になったのか経緯を簡潔に説明しておこう。
首領から組合の拠点となっている客船に奇襲攻撃を仕掛けようとの提案が出たので私は其れに梶井さんを向わせるように指示した。
其れに伴って研究室に溢れ返っていたこれでもかという程の檸檬爆弾をコンテナに詰める作業の現場指揮をしていたところ誤って中に入った儘、施錠されてしまったという訳だ。
「……どうしよ……此の儘じゃ…」
私のこの後に起こる事は想像に難くない。
────ダダダダ……
ヘリコプターが動き出してコンテナが地面から離れた様だ。
「誰かッ!!助けて!!!」
私は必死にコンテナの硬い壁を拳で叩いた。
然し其の音は虚しくもヘリの爆音によって掻き消された。
私が手も足も出ずにしどろもどろしていると此処で重大な問題にやっと気が付いて思わずその場に座り込んだ。
「待って…この爆弾で私に被害が出れば…怪我をするのは………。」
そうだった。
この忌まわしき異能力は【報復】の異能である。
梶井さんの異能力はこの爆弾で被害を受けない。だがしかし私がこの爆弾で被害を受ければ梶井さんは自らの爆弾によって被害を受けることが可能になるのだ。
血の気が一気に引いていくのが分かった。
また私のせいで───。
何とかして出口は無いだろうかと私は時折風に煽られて揺れるコンテナの中を其の爆弾にぶつからないように探した。
しかしそんなものはある筈も無く。
気付けば頬を涙が伝っていた。
流石に之には自分でも驚いた。
つくづく自分は情けない泣き虫であるということを自覚したのだった。
────生きている事が罪。
脳内を虚しく声なき声が木霊し続けた。
無情にもヘリが動きを止めてコンテナの揺れが収まった。
船上は随分賑やかな様だ。
誰かの声が聞こえる。
───────バッッ!!!!!
コンテナの床が外れた。
それと共に目を刺す日差しと鼻腔を擽る外気。
身体は懐かしい浮遊感に包まれ身体が風を切った。
落ちる途中で船上の“彼”と目が合った。
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葵(プロフ) - 飽き性さん» ご丁寧なご指摘ありがとうございます(/Д`;応援ありがとうございます(^^♪頑張ります! (2018年8月1日 13時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
飽き性(プロフ) - 本編の方で福沢が福澤になってますよ。この小説大好きです!通知来る度うきうきしてます!無理せずこれからも更新頑張って下さい! (2018年7月31日 2時) (レス) id: 7dd1ea514d (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 雪奏さん» お気に召して頂けた様で大変嬉しく思います(^^♪どうか最後までお付き合い下さい(^ ^) (2018年7月25日 19時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
雪奏 - すごく面白いです!応援してます!壁|ョ・ω・`o)ガンバッテッ♪ (2018年7月22日 22時) (レス) id: edf769ece4 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - #祭鼓*@harigaya mako*さん» 応援のコメント大変嬉しく思います!最近仕事の方が激務を増して今して忙しいので更新が滞っていますがどうか最後まで読んで頂ければと思っております(^ ^) (2018年6月18日 23時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎそーまっち | 作成日時:2018年6月9日 18時