バイオレットフィズ【ロロノア・ゾロ】 (ページ21)

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ゾ「へぇ…。」

「結構ロマンチックですよね、お酒の席でこんなの出されたら。」

ゾ「確かにな。」

まぁバイオレットフィズは、単純に味が好きって言うのもあるんだけどね。

見た目も紫色で綺麗で、でも儚げな感じ。

ゾ「Aは、昔から好きなのか？酒。」

「えぇ、まさか！私の世界では20歳までお酒飲んじゃダメですもん。」

ゾ「じゃあまた、なんでバーテンダーなんてなろうとしたんだ？」

なんで、かぁ…。

もう、あんまり思い出したくもなかったりするんだけど。

今日はお酒も飲んでるし、

波の音は綺麗で心地いいし、

なんだか喋っても、いいかな…なんて気分になっていた。

「…私の家、仲悪くもないし、別に普通の家だったんです。」

ゾ「…。」

でも、どこかがおかしかった。

今思えば、歪な家だったと思う。

「…普通の家、だけど…特別仲良くもなくて。両親は私を介さなきゃ会話をしない。家の中ではいつも、私だけが喋ってて。」

ゾロさんは、私のこんなどうでもいい昔話を黙って聞いてくれる。

「…元々、大恋愛の末に結婚したんですよ。私の両親。だけど子供が出来なくて…どんどん仲が悪くなっていって…。でも子供ができれば変わると思ったらしくて。」

なんか、こうして考えると嫌な思い出ばかり、蘇ってくる。

「私は、1歳になる前に養子に引き取られたんです。でも…私が来たことで、どんどん仲は悪くなっていく。」

「それで、会話は極限まで減って…ストレスのせいなのか、嫌味なのかはわからないけど…父は、母の作る料理をお酒で流し込むように食べるようになったんです。」

食卓に並ぶビールの缶を、不快に思いながらみていた記憶がある。

お母さんの料理は美味しかったのに…それがビールの味でかき消されていくのが怖かった。

「…私も、嫌な思い出ばかりなんです。お酒には。でも、お酒って飲み方一つで全然変わるから。」

「お酒にトラウマがある人が、少しでもこの先の人生…楽しく過ごせればいいな、って。ただのエゴなんですけどね…。」

お酒は、時に人を傷つける残酷なものへと変わるけど、

時に人を包み込んでくれる大事な存在。

私みたいな思いをする人が、いなくなればいいな…って。

ゾロさんは私の話を、しっかりと目を見て…聞いてくれていた。