麦わら帽子に夢を見る【ONE PIECE】 (ページ10)

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episode 10 ページ10

中「随分この島に溶け込んでるんだな」

「え？あぁ、この島の人達、フレンドリーな方が多いので…」

中「…もう少し海軍の自覚をだな……っおい待て！！」

突然だった。

中将は、横を通り過ぎた男の腕を掴み、その場に倒れ込ませた。

『うぉっ！！何すんだ！！』

その男が持っていたリンゴなどの食べ物は地面を転がり、その場にいた島の人達は目を丸くした。

でも私は、中将が何故この人を止めたのかわかる。

…この人、500万ベリーの賞金首の海賊だ。

中「何すんだじゃないぞ、海賊！！堂々と俺の横を通るとは肝が座ってるようだな！！」

「ちょ、ちょっと待ってください！！」

中「なんだA！！海賊の肩を持つ気か！！」

「そうじゃなくて…！！市民が怖がっています！！」

ここは、街のど真ん中。

そりゃ海軍は海賊を捕まえるものだから…私以外の海軍兵が海賊を捕らえようとも、私に口出す権利はない。

でも、この島内では違う。

ここは…私の島だ。

中「はぁ…！？海賊を捕まえたのに市民が怖がるだと！？」

私は今まで、島のど真ん中で突然海賊を捕えることなんて無かったから…

そりゃ、島の人達はびっくりするのもわかる。

私がここに来てからこんな光景、見たことないんだから。

私は悪さをしていたら捕まえるけど、今回はそうじゃない。

「そりゃそうでしょう！悪さをしていないのに突然捕まえたら、市民が驚くのも当然です！」

中「今はそんな無駄話してる場合か！」

そう言って、中将はいそいそと手枷を出し、海賊に手枷をはめた。

『やめてくれ！俺の帰りを待つ船員がいるんだ！！船に栄養失調の奴がいるんだよ！！』

私の足元には、この海賊が買ったリンゴが転がっている。

他にも、キャベツにじゃがいもに人参…ネギや生姜にニンニクもある。

この人はきっと…船員の身体が良くなることを祈ってこの島へ上陸したんだ。

この人はもうこの島に来て何日か経つけど、一度も悪さしたことない。

中「ほら！！ごちゃごちゃ言ってないで行くぞ！！」

『やめてくれ！！なぁ誰か！！せめてこの食い物を船に届けてくれないか！？俺は捕まってもいいから…！！動けない奴もいるんだよ！！お願いだ！！』

…この人を捕まえることが、海軍の使命なの？

「…これが！！中将の正義ですか！？」

そんな使命なら…

そんな正義なら、クソ喰らえだ。