麦わら帽子に夢を見る【ONE PIECE】 (ページ30)

今日:3 hit、昨日:11 hit、合計:45,801 hit

episode 30 ページ30

ル「お前！！そんなに俺が信用ならねぇのかよ！！」

「そうじゃなくて…」

ル「じゃあなんで誰にやられたか言わねぇんだ！！」

怒るルフィに、チョッパーはオロオロして見ていた。

私はあまり大声を出す力もなく…ベッドから動けず、そのままルフィと話をする。

ル「俺はお前の敵がなんなのかわからねぇ！！お前が何に苦しんで、何を怖がってるのかもわからねぇ！！」

「…え？それどういう…」

ル「出会った時からずっとそうだ！！お前は何でそんなに苦しそうな顔するんだ！！何が怖いんだ！！海軍やめて仲間になれば助けられるかと思ったけど、今もずっとお前は何かに怯えてるだろ！！」

ルフィは…一体どこまで私を見据えてたんだろう。

あんなに軽く「仲間になろう」って誘ってきたのに…

その言葉の裏には、「私を助けたい」って思いがあったの？

別に、苦しんでるわけじゃない。

怖いわけじゃない。

怯えてるわけでもない。

…ただ、私はサカズキの突き進む道が、世界の破滅な気がして…

どんどん、世界から笑顔が消える気がして…

それを、どうにかして止めたくて。

でも、私の力では到底止められるものではなくて。

…葛藤してたの、ずっとずっと。

ル「答えろ！！誰を倒したらお前を救えるんだ！！」

でもそんな私を、救おうだなんて言ってくれる人、今までいなかった。

そもそも、私の葛藤に気付いてくれる人もいなかった。

私は、ずっと我慢していた涙がポロポロとこぼれ落ちる。

「…何故か、サカズキは私を海軍に連れ戻そうとしてて、昔の部下を人質にとって…反撃できないようにされて、」

ル「…うん、それで？」

これを言っても、いいのかな？

ルフィを危険に晒すことになるのに…いいのかな？

ましてや、相手はルフィにとってもトラウマの相手。

それに、戦うならルフィだけじゃなくて皆も危険に晒す。

大将とも戦うことになるだろう。

世界各国に沢山いる中将たちとも…戦うことになるだろう。

それでも…

この願いを、口にしていいの？

みんなに頼ってもいいの？

私がずっと抱えてた葛藤を、ルフィにも抱えさせていいの？

私は、恐る恐る口を開いた。

「…サカズキを、元帥の座から降ろしたい」

泣きながらそういう私の頭を、ルフィはニヤッと笑ってぐしゃり、と撫でる。

ル「…ししっ、よく言った！！」

そう言って笑うルフィの笑顔に安心して、私はまた涙が止まらなくなった。