麦わら帽子に夢を見る【ONE PIECE】 (ページ29)

今日:5 hit、昨日:11 hit、合計:45,803 hit

episode 29 ページ29

・

・

・

チ「……銃弾をモロに受けてるからな」

ル「でも助かったんだろ？」

チ「助かったけど、貧血には変わりないよ…しばらくは動けないだろうし…」

そっと目を開けると、船の天井が見えた。

私…生きてたんだ。

かなり沢山の銃弾を受けたから…本当に死んだかと思った。

体は上手く動かないし、全身が重くて痛い。

視界はぼやーっとする。

でも…私のベッドに腰をかけるこの温もりに、赤い服。

「…ルフィ、」

ル「A！？起きたのか！！大丈夫か！？」

ルフィは私の声を聞くなり、勢いよく振り返って私の腕を掴む。

「いたっ、いたい…」

心配してくれてるのはわかる。

でも、銃弾を受けすぎたこの体に、ルフィの力で掴まれると流石に傷が痛む。

チ「ルフィ！！まだ傷がしっかり塞がってないんだ！！あんまり乱暴には…」

チョッパーはルフィを私から離そうとするけど、ルフィは私の腕を掴んだまま、私に向かって叫ぶ。

ル「誰にやられた！！！！言え！！！俺がぶっ飛ばしてやる！！！」

チ「……傷が開くって言ってんだろー！！！！やめろ！！」

ル「ブヘッ！！」

「チョッパー、」

感情的になって怒るルフィに、チョッパーは蹴りを入れて私からルフィを離す。

あぁ…今だけは少し助かったかも…。

そもそも、あんな状態じゃまともに話も聞いてくれないだろうし。

チ「落ち着けよルフィ！！気持ちはわかるけど！！」

ル「あぁ…そうだな、ごめん…で、誰にやられたんだ！？」

ルフィは椅子に座り直して、また私に同じ質問をする。

もう…ツッコむ気力もない。

それに…

「……街にいた人の、反感買っちゃったみたい」

これは私の問題で、みんなを巻き込むわけにはいかないから。

きっとこの話をしたら、ルフィは海軍に喧嘩を売りかねない。

みんなと海軍と戦わせるなんて、そんなことできないし、させたくない。

だから…少しだけ、嘘をつかせて欲しい。

ル「…んなわけねぇだろ。もしそうだとしても、なんでやり返さなかったんだよ」

「…ルフィも見たでしょ？この島、海軍が沢山いるの。騒ぎを起こしたら捕まっちゃう……」

ル「お前なぁ…ンなわけあるか！！死にかけたんだぞ！！」

わかってる…ルフィを騙せないことなんて。

でも私はもう、私の為に捕まって処刑される仲間なんて見たくないから…。

「…でも生きてたし」

ル「ふざけんな！！！」

お願い…

もう、誰も死なせたくないの。