麦わら帽子に夢を見る【ONE PIECE】 (ページ11)

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episode 11 ページ11

中「……あ？」

中将は船へ連行しようとした海賊を捕らえたまま、私の方へ振り返った。

「この人が何をしたって言うの！？」

ただ助けを求めてこの島に来ただけなのに。

もし略奪しようっていうなら、もっと早くにしてるはずだ。

でも彼はそれをしなかった。

しっかりとお金を払い、物を買った。

大人数でウロウロして怖がらせることもなく、武器も何も身につけず、私たちにバレぬようコソコソと船と島を出入りしていただけ。

私は知ってる。

彼が、店で栄養失調の時におすすめのレシピを聞いてることを。

街の人との距離が近いから、コソコソしてたって出入りしてるのはわかるんだよ。

でもこの島での彼を見る限り、捕まえる必要が無い。

中「オイオイ、コイツは海賊なんだから捕まえて当たり前だろ？」

「…悪さをしてる訳でもない海賊を捕まえて…それが海軍のすることなの！？もっと他にやることがあるでしょう！？」

悪さをしてる奴なんて、他にいっぱいいる。

王下七武海だって、四皇だって…

政府が公認してる組織なんて、もっともっと卑劣なことしてるのに。

なぜそっちを取り締まらず、何もしてない彼を取り締まる必要があるの？

中将は、言葉に詰まったのがフルフルと体を震わせてから、私の肩をドン！と押した。

中「～っ！！うるせぇな！！そんなに海賊が好きならお前海軍辞めちまえよ！！」

『Aちゃん…！』

事の顛末を見ていた市民の人が、私の名前を呼んだ。

中将の手は、腰に差した刀にあった。

私が転んだら立て続けに攻撃する気だ…！

こんな所で戦うわけには…！

まずい…！と、思った時。

ポス、と誰かに私は受け止められた。

「あっ、すみませ…」

ル「んや、別に」

私を受け止めてくれたのは、昨日友達になったルフィだ。

中「なんだお前…って、お前麦わらのルフィだな…！？」

ル「ん？なんだ、おめー俺のこと知ってんのか？」

中「あぁ知ってるとも…！お前3千万の賞金首になったばかりだもんなぁ！！ひょこひょこ出てきやがって…捕まえられてぇか！？」

このままじゃルフィまで…！

それにもう、この場所で騒ぎは起こしたくない。

このまま応戦してしまいそうなルフィを、私は止めようとした。

…でも。

ル「お前にゃ、俺は捕まえられねぇよ」

中「はぁ！？どういうことだ！」

ル「俺ァ、海賊王になる男だからな！」

そう言って、ルフィは笑った。