お兄ちゃん、何してんの……

二話 ページ4

「…お兄ちゃん、何やってんの……」



口からその言葉が出てから1秒もしないうちに私は走り出していた。



ネ「ちょっとAー！どこいくの！この後はバトルでしょ！！」



ネモちゃんに止められるけど、そんなの関係ない。



ごめん、ネモちゃん、私には今すぐ調べないといけないことがある。



向かっているのは学校だ。



パルデアで一番大きいこの学校、オレンジアカデミー。



きっと10年前のこともわかるはずだ。



入ってすぐのエントランスにあるカウンターに駆け寄ると事務員さんに声をかける。



「あの！10年前に有名人の失踪事件とかありましたか！！」



事「え？あー、あ、そういえばイッシュ地方の誰かが行方不明になってたな…10年前の時事系の資料は2階の左奥にあるよ」



「2階…ありがとうございます！」



急いで当時の新聞を探る。



どのくらい経ったのか、正確なことはわからないけど、きっと30分くらいは経っていると思う。



「…あった」



サブウェイマスターノボリ、行方不明に！



見出しにはそう書いてあった。



「イッシュ地方の名物、バトルサブウェイのシングルトレインを担当するサブウェイマスター、ノボリ氏が行方不明となった。



弟のクダリ氏曰く古い車両の点検中、突然白い穴が現れノボリ氏だけが吸い込まれていったという。



ポケモンによる誘拐と見て捜査を進めている」



…もしかしたら、とは思っていたけど、やっぱり前世で出会ったシンジュ団キャプテンのノボリさんは、前前世の兄で間違いなさそうだ。



…なぜ気がつかなかったのだろう。



いくら前世とはいえ、大切な兄ではなかったか。



というか、結局覚えてなくてもアルセウスかディアルガ使えば返せたじゃん。



後悔が押し寄せてくる。



あの仲の良かった双子の兄が、離れ離れになっている。



そんなこと許せるか。



…ネモちゃんから聞いている学校行事、宝探しまではまだ時間がある。



なんとかしてお兄ちゃんを連れ戻そう。



そう心に誓った。

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