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「あっ!Aちゃんだーっ!!!」
『高橋さん…えっと、こんにちは?』
意思の強そうなまゆげと目。
少年マンガの主人公にいそうな一本気でかっこいいこの顔は、純然と高橋さんだ。
でも私の知る高橋さんはこんなにくだけて話しかけてこないはず。
生徒会のみんなと話す時は大きな声で楽しそうだけど私には敬語だったのに。神社でも。
距離感の掴めない私は少し戸惑うけれど、高橋さんはぐっとそばに来ている。
「あ、ごめんっ!こういう呼び込み的なバイト久しぶりでテンション上がっちゃって!素になっちゃった…うざかった?」
ううん、嬉しい!
…高橋さんのこの人懐っこい笑顔はこころを晴れやかにするなぁ。
『いえ、そんな。むしろ嬉しいです。…今日もバイトなんですね?』
「よかったぁ!
そ!はい、これどーぞっ!」
店の入り口、チョコ系のホットドリンクと甘そうなフラペチーノのボードの隣でニコニコとお試しのドリンクを配る高橋さんに、パァッとした笑顔でちいさなカップを手渡される。
お店のロゴとハートが描かれた紙カップのなかは、少量の温かいチョコのドリンク。
濃厚な甘い香りがふわっと漂ってくる。
着てるのは、このカフェの制服…なのかな。
白いシャツと黒いエプロンにはっきりした顔の対比。
高橋さんはこういうコントラストが引き立つ色が本当に似合ってる。
「待って、あのひとめちゃくちゃ顔良すぎない?!」
「かっこいいのに笑うと超絶可愛い…私の顔認証システムがあの顔しか認識しないんだけどどうしたらいい?」
「あんなバチイケなのにちらっと見えてる靴下ちょいださボーダーなの愛しい…動悸息切れ…」
「なんであんなに元気なの?リアコなの?もう無理」
「アーモンドショコラフラぺ50個連課金したい!だからもう1回笑い掛けてほしい!」
お正月のデジャヴ。
ううん、あの時よりも人だかりは加速してる。
通りすがりの女の子たちはかっこいい高橋さんと甘いドリンクの波状攻撃を受けて、楽しそうにお店に吸い込まれていく。キャーキャーしながら。
「気に入ったら中でお寛ぎくださーいっ!こちら650円、バレンタイン限定ですっ!」
お正月も思ったけど、やっぱり高橋さんは商売上手だ。
『あ、でも本当に美味しい!』
「でしょっ?」
嬉しそうな高橋さんと笑い合っていると、
甘く官能的な香りとともに、誰かが私の髪に触れた。『ひぁっ!なに…』
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「…優斗ばっかり、ずるくない?」
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冷麦(プロフ) - みちゃこさん» みちゃこさん、コメントありがとうございます。好きと言ってくださって嬉しいです!感謝です! (2020年3月16日 15時) (レス) id: 5b6161b271 (このIDを非表示/違反報告)
みちゃこ(プロフ) - このお話大好きです。これからも更新頑張って下さい! (2020年3月16日 0時) (レス) id: b50848dd48 (このIDを非表示/違反報告)
冷麦(プロフ) - おかゆちゃんさん» おかゆちゃんさん、コメントありがとうございます!きゅんきゅんしてくださって、素敵な感想を寄せてくださって、本当に嬉しいです…!励みになります! (2020年2月23日 0時) (レス) id: 5b6161b271 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆちゃん(プロフ) - こんなにきゅんきゅんするお話に出会えて感動してます( ; ; )登場人物全員かわいすぎる…!本当に評価が一度しか出来ないのが悔やまれます(>_<)これからも素敵なお話楽しみにしてます! (2020年2月23日 0時) (レス) id: a7174925fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冷麦 | 作成日時:2020年2月8日 17時