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雪はまだ止まない。
葉を落として裸になったモミジの木が白い服を纏うように、すこしずつ雪が積もってゆくのが見える。
『あのね』
私はそっとちいさな紙袋を差し出す。
…雪の水分ですこしふやけ始めてる。
『井上くん、これ。ちょっと早いけど』
…刺すような視線は、今、びっくりしてる。
お正月の時の目に似てる。
勘違いに気づいた時の目みたいに、驚いてる。
『手作りだから。口に合うか分からないけど』
…びっくりは、真顔に変わって。
『よかったら貰ってほしいな…これ』
…それから、
ものすごく嫌そうで、照れくさそうなあの顔をした。
「あ…あり、がと」
井上くんの照れくさくてどうしていいか分からないって顔が、戸惑いながらも嬉しそうに見えた。
口角があがった。
そう思った瞬間。
私は本当に嬉しくて。
…この顔が見たかったんだ。
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雪が視界を遮る。
どんどん視界が覆われてゆく。
どんどん優しく降り積もってゆく。
雪のきらきらの粒子が、石畳の上のイルミネーションと重なる。
本当に綺麗で儚い。
「…お前、前髪に雪積もってる…鼻の頭も頬も真っ赤だし、いつからここにいたんだよ」
『ほんのちょっと前…』
そっと、井上くんの指が私の雪を払う。
綺麗な二重とふっくらした涙袋が近い。
ちいさな顔がすぐそこにある。
やっぱり井上くんはかっこいい。
こんなに近くて恥ずかしいはずなのに、あまり頭が働かない。…なんでかな。
「って！おでこめちゃくちゃあっつ…！おい！」
はずみで私のおでこに触れた井上くんの指。
私の意識はもう朦朧としていた。
でも、会えてよかった。
渡せてよかった。
井上くん。
胸がいっぱいで、嬉しくて、
なんて言ったらいいか分からない、けれど。
いつも、ありがとう。
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2月14日。
特別なこの日、この夜。
ほんのすこしバレンタインの魔法を借りて、
ひたむきな気持ちを伝えられますように。
恋する女の子みんなが、勇気を出せますように。
Happy valentine for 8181.
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冷麦(プロフ) - みちゃこさん» みちゃこさん、コメントありがとうございます。好きと言ってくださって嬉しいです！感謝です！ (2020年3月16日 15時) (
レス) id: 5b6161b271 (このIDを非表示/違反報告)
みちゃこ(プロフ) - このお話大好きです。これからも更新頑張って下さい！ (2020年3月16日 0時) (レス) id: b50848dd48 (このIDを非表示/違反報告)
冷麦(プロフ) - おかゆちゃんさん» おかゆちゃんさん、コメントありがとうございます！きゅんきゅんしてくださって、素敵な感想を寄せてくださって、本当に嬉しいです…！励みになります！ (2020年2月23日 0時) (レス) id: 5b6161b271 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆちゃん(プロフ) - こんなにきゅんきゅんするお話に出会えて感動してます（ ; ; ）登場人物全員かわいすぎる…！本当に評価が一度しか出来ないのが悔やまれます(>_<)これからも素敵なお話楽しみにしてます！ (2020年2月23日 0時) (レス) id: a7174925fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷麦
| 作成日時：2020年2月8日 17時
