cream soda for you-3（Ryuto.S Yuto.T ）

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私と作間くんはずっと手を繋いでいる。



最初はすごく緊張して、
繋いだ手のほうばかり意識してしまっていたけれど。
はぐれないように仕方なくやってる、
だから意識するほうがおかしいんだって自分に言い聞かせていたけれど。



作間くんが優しく手を引いてくれるから、
そっと守るみたいにしてくれるから、
その手がずっと温かいから。



時々人混みでどうしても体が触れてしまう時はどきどきが再発するけれど、手は安心してしまって。
段々こころまで丸く温かくなってしまって、
まるで、繋いでいるほうが正常なんですよ、
そんな気持ちになってしまって。


最初はぽつぽつ途切れがちだった会話も、
男の子らしい作間くんの頼もしい振る舞いと
暖かい節々した手にこころがほどけて。





お面の出店に並んでるキツネのそれを指差してやっぱり作間くんて似てるって言った私に、
作間くんが「…コン？」って綺麗な手を丸くして真似する姿に笑ったり。

見る限り誰も成功していなかった金魚すくいで、シュバババッて神業みたいな速さで金魚をすくった作間くん。
隣で泣きそうな目をしている女の子にその金魚をあげて、
頰を赤くして興奮して見ていた男の子にはコツを教えてあげてニコニコしていて。
すごい！出来た！お兄ちゃんありがと！って言われて照れていて。


その顔が柔らかく優しくて、かっこよくて。

手を繋いでる以上にどきどきしてしまって。





今こうして隣で歩きながらチョコバナナを食べる作間くんはとっても幸せそうな顔をしていて、
「美味しいね」って言いながら私を見る細くなった目に、
ちらっと歯ののぞく屈託のない笑顔に、
やっぱりどきどきしてしまって。







すごく楽しい。
お祭りが。


…作間くんとこうしているのが。








きっと。
手を繋ぐって事は、きっと距離を縮めるって事なんだ。
物理的にも、こころのなかでも。


だから家族とか付き合っているひとたちは、なかよく手を繋ぐんだって思う。
駅の待合室で、往来の雑踏で、朝もやの街角で、そういうなにげない風景のなかで。


離れないでって、
もっと近くにいてね、
もっと近くに来てねって。



手を繋ぐって事には、そういうちからがあるんだって思う。



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…いや。待って。

そもそも私と作間くんは別に家族じゃないし、もちろん付き合ってる訳でもない。
ただ昔同じクラスだっただけ。
偶然ふたりきりでお祭りに来てしまっただけ。



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