cream soda for you-3（Ryuto.S Yuto.T ）

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私の手を引いたのは、モノトーンの服のキツネみたいな顔の男の子。

慌てた顔の作間くんだった。



『あれ？作間くん…前に行ったんじゃ…？』
作間くんは、私をまじまじ見てパアッと嬉しそうにした。

「よかった！見つけた！」
そう笑った白い肌が、すこし赤く見えた。




「ごめん、ちょっと見失っちゃって。はぐれちゃったね。…だから」

そうして目を伏せて、

「…だから、こうしてるね」





優しく引いたままの手。
その手を伏せた目で見つめた作間くんは、持ち替えてきゅっと包んだ。


もっとしっかり手を握られた。






「…なに、食べよ」

何てことない、みたいに手を繋いだまま私の右隣を進む作間くん。
私は手を繋がれて。その右手だけが熱くて。
だって。

…ひとりだけ、私だけこんなにどきどきしてるなんてバカみたいだけど。
こんなふうに手を繋いだことなんてないから。
作間くんがこんなふうに手を繋いでくるなんて思っていなかったから。
やたら右側を意識してしまって、まともに見られなくて。
どうしたってどきどきは止まらなくて。

でもこうしないとはぐれてしまうって作間くんが考えたのも分かるから。実際はぐれたし。
他意なんてもちろんないんだって、どきどきするな私って、そう言い聞かせて。


『さくま、くん』
私チョコバナナ食べたいなって、なんとか明るく何でもないように言葉を続けようとして、
頭上20cm右ななめ上の作間くんに目をやる。

と。






「…っ」



ななめ上で、私を見下ろして目がぱちっと合った後、その目をぐるぐるさせている作間くんがいた。





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「なんでチョコバナナって、じゃんけんに勝つと多く貰えるとこ多いんだろ」
『ほんとにね。でも私じゃんけん強いから！得したー！』

そう話しながらへへって笑い合って、チョコバナナを食べる私たち。


作間くんは私の手を引きながらゆっくり歩いて、
向こうから来るひとをななめ前に立ってやり過ごしてくれたり、
時々そっと帯の近くに手をやって後ろのひとから守ってくれたり、
下駄の足もとを踏まれないようにしながら間を守ってくれて、そうやってお祭りの屋台を回って歩いた。

私はどうしてもチョコバナナが食べたいって主張して、作間くんもいいねって目をキラキラさせて同意してくれたから、
一番冷えていそうで一番美味しそうなお店で、おじさんとじゃんけん。
普段から圧倒的にじゃんけんに強い私が本領発揮して、ふたりで1本ずつ貰って食べている。


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