第2話 ページ2
ナルシッサside
「シシー、やってはいけないよ。彼奴は信用できない」
「闇の帝王は信用していらっしゃるわ。違う？」
「…いずれにせよ、この計画は誰にも漏らすなと言われているじゃないか。こんなことをすれば闇の帝王への裏切りに…」
「放してよベラ」
マントの下から杖を取り出し脅すようにベラの顔に突きつける。
それでも私に出来るはずがないとベラは笑う。
出来ないことなんか、もう何にもない。
家族を守るためならば、なんだってできる。
ナイフの様に振り下ろした杖から閃光が走り、ベラは火傷をしたかのように腕を放す。
その隙にレンガ建ての家の間の人気のない迷路を奥へと入り込む。
スピナーズ・エンドという名の袋小路の一番奥に辿り着き、戸を叩いた。
ベラが悪態をつきながら追いついてくる。
暫くしてドアの向こう側で何かが動く音が聞こえ、僅かに戸が開いた。
隙間から二人を見ている男の姿が細長く見えた。
黒い長髪が土気色の顔と暗い眼の周りでカーテンのように分かれている。
私がフードを脱ぐとセブルスは少し驚きながらも私達を招き入れた。
入った所はすぐ小さな居間になっている。
壁はびっしりと本で覆われ、古い肘掛椅子、グラグラするテーブルが天井からぶら下がった蝋燭ランプの薄暗い明かりの下にひと塊になって置かれていた。
私が勧められたソファに腰掛けると、ベラは私の背後に立った。
私達の前にある肘掛椅子に腰掛けたセブルスが口を開いた。
「それで、どういうご用件ですかな？」
「ここには私達だけですね？」
「無論そうです。ああ、ワームテールがいますがね。しかし虫けらは数に入らんでしょうな？」
セブルスが背後の壁の本棚に杖を向けるとバーンという音と共に隠し扉が勢いよく開いて狭い階段が現れた。
そこには背中を丸めた小男が立ちすくんでいた。
「ワームテール、お気づきのとおりお客様だ」
「ナルシッサ！それにベラトリックス！ご機嫌麗しく」
「ワームテールが飲み物をご用意しますよ。その後こやつは自分の部屋に戻ります」
「私は貴方の召使いではない！」
「ほう？我輩を補佐する為に闇の帝王がお前をここに置いたとばかり思っていたのだが」
「補佐と言うならそうです…でも飲み物を出したりとか、貴方の家の掃除とかじゃない！」
「それは知らなかったな、ワームテール。お前がもっと危険な任務を渇望していたとは。それなら容易い事だ。闇の帝王にお話し申し上げて…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 143人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真昼 - 最高でした！！一気読みしてしまいました！サラザールが好きなので、とても嬉しかったです！！ (8月27日 7時) (
レス) @page22 id: cd0b763249 (このIDを非表示/違反報告)
箱 - 素敵な作品ありがとうございます (8月10日 11時) (レス) id: 4edc0c80af (このIDを非表示/違反報告)
夜彩(プロフ) - ありがとうございます！これからもゆっくり更新していくので、どうか最後までお付き合いください！ (2023年3月23日 10時) (レス) id: bd39633a4b (このIDを非表示/違反報告)
イジー - 続編！おめでとうございます！全ての話が面白いです、これからも頑張って下さい！ (2023年3月23日 10時) (レス) @page2 id: c288b38476 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜彩 | 作成日時：2023年3月22日 16時
