___36話___ ページ4
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何日探しても、神威さんを見つける事が出来なくて。
もしかして全部夢だったのかなぁ なんて思いながら、階段をゆっくりのぼる。
「確かに…あんなに綺麗で素敵な人が私を欲しがるなんて、可笑しな話だった」
全て初めから無かったみたい。乾いた笑みを浮かべながら柵を乗り越えたところで、涙が零れた。
『神威さんが私を見捨てる筈ないよ。絶対迎えに来てくれるから、もう少し待ってみようよ』
『待てないよ、私は今すぐ全部から逃げたいの』
そんな自分の声が頭でせめぎ合っている。私だってすぐ諦めたわけじゃない、頑張って探してた。でも「頑張ろう」と思える日と「もう無理だ」と思う日の差が激しくて 少し疲れた。
ただ一人を思い浮かべながら、下を歩く通行人が居ないことをしっかり確認して、目を閉じる。
その時、土砂降りの雨が私の上だけで止まった。
『何、してるの』
今一番聞きたかった声が どうして。これも、夢?
神威「A」
振り向くと、私の頭上に傘を差し出し 息を切らした神威さんが確かに立っていて、柵越しに手を伸ばしてみた。
温める様に 私の手をしっかり握り返してくれて、「夢じゃない」とまた涙が落ちていく。
神威「…今ここで俺と会えてなかったら、どうするつもりだった」
「…」
当たり前のように お見通しで、答えないまま自分の足元を見た。
神威「よっ、と」
「え…神威さん?」
軽々と柵を乗り越えて、こちら側へと来た神威さんを驚いて見つめる。
神威「落ちてみる?…死のうか、一緒に」
「な…に、言って」
神威「Aの居ない世界なんか、生きてたって仕方ないよ」
そう言って私を見つめたまま、差していた傘を閉じて、落とす様に捨てた。
神威「一人でそっちには行かせない。俺も一緒に連れて行ってよ」
「なんで そこまで…っ」
大雨のせいで、神威さんまで泣いてるように見えて 目を逸らしそうになる。
神威「愛してる、A」
確かめるように何度も何度も口付けて、強く抱き締め合ったまま、どちらからともなく二人で墜ちていった。
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さな(プロフ) - アキさん» わああ(;_;)作品と曲まで重ねて見てくださって、思い出して貰えるほど心の中に置いてもらえてとても嬉しいです(><)♥️ (2022年6月8日 23時) (レス) id: c74a2aa4bf (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - さなさん» 誰かの心臓になれたならとか聞くたびにこの作品思い出すようになってしまって毎回涙でてきます^_^ (2022年6月8日 8時) (レス) id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - アキさん» アキさんコメントありがとうございます(*´▽`*)何かアキさんと夢主が重なる部分があったんですね(>_<)沢山褒めて下さって嬉しいです…!ありがとうございます^^* (2022年6月8日 0時) (レス) id: c74a2aa4bf (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - うわーーーもう好みすぎるお話です😭夢主を自己投影してしまって余計読んでて感動しました笑素敵な作品でした! (2022年5月21日 15時) (レス) @page24 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - りおさん» はじめまして!コメントありがとうございます(><)・:*+.少し実話も入ったお話だったのでそう感じてもらえて嬉しいです…!とても嬉しいお言葉ほんとにありがとうございます(T^T)これからも感想いただけるような面白いお話しかけたらと思います((´∀`*)) (2021年7月22日 1時) (レス) id: a286bee94d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さな | 作成日時:2019年12月8日 11時