___10話___ 神威side ページ10
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何十時間ぶりに部屋へ戻って、ホントはすぐにでも寝たいけど、Aを見ないと眠れない気がして。
あー…あとシャワーも浴びなきゃ。今日は血の匂いが体によく染みてる。
電気をつけないまま静かに扉を開き、眠り続ける彼女の姿を確認する。
神威「ふ、よく寝てる」
飯に薬を盛られてたなんて事、何も知らずによく食べてたから、もちろんまだ起きる気配はない。
卑怯なやり方だとは分かっているけど、引き寄せられるように 眠るAと唇を重ねた。
神威「…泣いてるの」
目尻から頬に涙がつたっていって、起きているのかと一瞬ヒヤッとしたものの、夢の中で泣いているんだと すぐ気付く。
ちょっとだけ隣に寝転んで、子供をあやすみたいにとんとんと手を体に乗せてみる。すると落ち着いた様に表情が和らいで、見てると胸の奥が溶けそう。
もしかしたらこういうのを「愛しい」だとか「好き」って言うんだろうか。
Aのことは、まだ何も知らない。
だから尚更、死のうとした訳も、泣く理由も、転んだと嘘をつかれた 手首の傷の事も、どれも答えが知りたい。
こういうミステリアスな部分にも、きっと惹かれるんだろう。
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神威「あのさ、なんか遠くない?」
「パーソナルスペースです」
今朝Aを起こしに行くと、俺に対し距離をとるようになっていた。近付こうとすると同極の磁石みたいに、一定の距離で離れられる。
原因はなんとなく分かる気もするけど。
神威「もしかしてアレ 気にしてる?」
Aがこうなってる理由は多分、俺が唇の端に口付けた事。
唇っていうか…ほとんど、ほっぺなんだけど。
「……初めてだったのに」
神威「あれって1回のうちに入るのかい?あんなのカウントしないと思うけど」
「最低ですね」
まさか寝ている間にも 2度3度、唇を奪いました。
なんて、この様子じゃ口が裂けても言えない。
神威「そんな怒らないでよ。そうだ、服買ってきたから早速着てみて」
男を意識してくれたのかと思ってぬか喜びをした。
Aの態度は怒ってる、それ以外の何物でもないらしい。
全く俺になびかないし、一体どんな手を使えばこの女を落とせるのか、また悩まされる。
「服?昨日の今日で早いですね」
そうか、Aの中じゃまだ昨日の話なんだ。
眠らせているなんて知ったら益々怖がるかもしれないし、話の辻褄が合うように 気を付けないといけないな。
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さな(プロフ) - 鈴さん» わわありがとうございます!(;;)誰かの救いになればと台詞を書いているので、そう言って頂けたり、鈴さんの励みになれたのがとても嬉しいです(∩´∀`∩) (2019年12月12日 19時) (レス) id: e49a683dbf (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 24話、神威さんの必死に生きてればこんなことだってあるさ、という言葉に励まされました(´;ω;`)キャラクターの一言一言が優しさと切なさを感じられて大好きです。 (2019年12月11日 23時) (レス) id: cc01498415 (このIDを非表示/違反報告)
すてーき(プロフ) - さなさん» や、優しいかよ (2019年11月4日 21時) (レス) id: 6bb493e780 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - すてーきさん» ありがとうございます。゚(゚^ω^゚)゚。夜はしっかり8時間以上眠ってくださいね…!()更新頑張ります! (2019年11月4日 21時) (レス) id: e49a683dbf (このIDを非表示/違反報告)
すてーき(プロフ) - まじ神作すぎます!更新楽しみで夜しか眠れませう、応援してます! (2019年11月4日 20時) (レス) id: 6bb493e780 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さな | 作成日時:2019年10月6日 7時