藍色の誘拐犯【神威】

___9話___ 神威side ページ9

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阿伏兎｢そういや全く見かけないが、月の姫様はどうなったんだ？｣



ひと仕事を終えて、返り血を拭いながら第七師団へ帰る途中、思い出したように聞かれた。

"月の姫様"って呼ぶのはどうせ、俺があの夜、月から落ちてきただの言った話をまだ面白がってるんだろう。



神威｢部屋から出すわけないだろ。ここがどんな所かも まだ教えてない。俺の部屋で眠り姫になってるよ｣

阿伏兎｢ヘェ…こりゃ随分と気に入ってるらしいな｣



どうりで薬品棚が荒らされてた。と、疲れ顔であっという間に俺の悪事を見破る。



神威｢長く帰って来れない時だけだよ 薬使うのは｣

阿伏兎｢んなこたァ分かってる。薬漬けになんかするタマじゃねェもんな。あんたは｣

神威｢それだと、どっかの夜王と変わらないもんね｣

阿伏兎｢いや、今でもそんな変わらんだろ｣



余計な事を言うから、怪我してる所を殴ってやると すぐに黙った。



神威｢俺は逃がすのが怖いんじゃなくて
傷つかないよう大切にしてるだけさ。愛だよ愛｣



その後は ｢そーなんですか｣としか返事が返ってこなくなって、つまらなくなったから話すのをやめた。

きっと 俺のする話が全部のろけに聞こえて嫌になったんだろうな。






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